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物流ニュース
ブリヂストン物流 品質向上に3Sコンテスト
2016年11月1日
ブリヂストン物流(坂梨明社長、東京都中央区)はグループ唯一の物流会社として、各社単独で行っていた物流を組み合わせて効率化し、また外部に向けては同社の強みを生かせる領域に進出。グループ全体にメリットをもたらす外販を展開し、顧客に新たな価値を提供している。「最高の品質で社会に貢献」という使命のもとで、同社の最大の役割は「専門性を生かし品質・コストの優位性を実現し、BSグループに貢献すること」と久野雅人取締役兼物流事業統括は話す。
品質向上は、整理・整頓・清掃の「3S」の徹底から始まる。全国27営業所を対象に、「3Sコンテスト」を年2回実施。事務所・休憩所・製品保管場・出荷場など、確認すべき15エリアでの改善を評価する。全事業所を東西に分け、相撲になぞらえて上位から横綱から前頭まで番付けで表現する。久野取締役は「3Sはすべての基本」と言い、「仕事場をきれいに保つことで安全が確保され、誤出荷・誤ピッキングがなくなれば生産性向上にもつながる」という信念で取り組んでいるという。2C(チェック&コンファーム)認定制度やダミーチェックを行うことで、誤出荷や在庫差異のゼロ水準を継続しており、他社による構内見学や第三者機関からの評価を実施することで、従業員のモチベーションアップにもつながっている。
運送事業者に対しては昨年、「安全パートナー制度」を導入した。そこには「運送事業者も同社の従業員と同じ〝仲間〟であり、同じ安全基準で作業を行うことで、彼らの安全も守りたい」という思いが込められている。そのため運送事業者と新規契約をする際は、事前にブリヂストンの共通安全規定項目の「3S」「危険予知」「リスクアセスメント」「安全ルール」を説明し、安全作業をすべて教育した上で契約するという。特に、「タイヤ転倒」「リフト衝突」「パレット落下」「設備挟まれ・巻き込まれ」のタイヤ物流4大危険因子の対策を徹底しており、絶対に災害を出さないという気持ちで、運送事業者と手を携えて取り組んでいる。
ドライバー不足・高齢化の深刻化、そして「重労働」「仕事量が安定しない」というタイヤ製品の特徴を踏まえ、作業効率化を積極的に進めている同社。例えば、タイヤの積み込みの軽労化や内製化に取り組んでいる。タイヤを転がし、一つひとつ積み上げる作業は、作業員にとって大きな負担となる。乗用車用タイヤについては、積み込み軽労化装置を使用。トラック内にタイヤを自動送達するとともに、上下左右に動く装置が、難しい上部への積込みを容易にした。トラック・バス用タイヤは、クランプリフトで積み付ける。また、構内では仮置きホームを設置して並行作業ができるようにしたり、配車計画とピッキング進捗管理の見える化でドライバーを待たせないよう改善を図った。
昨年、メーカーと販売会社それぞれが行っていた物流を同社がとりまとめ、一気通貫の販売物流を実現した。このほかタイヤとリトレッド・ホイール・原材料・工業用品などの商品を組み合わせた共同物流も行う。
こうした物流効率向上の努力だけでは、人件費を賄えないのが物流現場の厳しい現状。「輸送原価に占める燃料費は約2割、人件費の割合は約5割。特に人件費の上昇で、燃料価格の下落分だけでは人件費の増加に対応しきれていない。それを理解しているので、燃料費が下がったからといって単純に値下げするようなことはしていない」と話す。実際に親会社には、今後の輸送原価の見通しを説明し、合理的な運賃設定による安定的な輸送力確保を訴え、理解を得るよう努めている。
大事な製品を運んでもらう以上、同じブリヂストンの看板を背負った気持ちで運んでほしい。そうした切なる思いと同時に、現場で奔走するドライバーに目を向け、物流の効率化・省力化だけでなく、事務所の受け付けや休憩所を、疲れを癒す空間に作り替えるなどのおもてなしも行う同社。久野取締役は「物流環境の変化には柔軟に対応し、荷主、物流事業者双方にとって喜ばれる物流を実現したい」と話している。
◎関連リンク→ ブリヂストン物流株式会社この記事へのコメント
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