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物流ニュース
鳥居運送 鳥居俊彦社長「実績上げて仕事内容で勝負」
2018年7月24日
明治29年、摂津紡績(現ユニチカ)の専属運送店として発足した鳥居運送(鳥居俊彦社長、大阪市東住吉区)。創業以来、輸送、保管、荷役業務を遂行する同社は繊維・製紙メーカーを主要荷主とし、倉庫は大阪、愛知県豊橋市、同岡崎市、京都府宇治市の4か所に構え、総延べ床面積は約8400坪を誇る。大阪の倉庫は高天井で、相当な重量にも耐える堅牢性が自慢で、さらにコンピューターを駆使した立体自動倉庫システムを採用しており、在庫管理の効率化と短納期を実現している。
安全への取り組みも進め、平成25年には宇治、岡崎、江津の各支店で、道路交通安全の国際規格であるISO39001認証を取得。デジタコはほぼ全車両に導入し、ドライブレコーダーや衝突軽減ブレーキなど安全に関わるものは積極的に採用している。
「支店の数は昭和初期の戦争が始まる前が最も多く、島根から中部エリアにかけて約30支店を構えていた。荷主が工場を造ったことに合わせて、朝鮮半島にも進出した」と語る鳥居社長。当時は海運業も手掛け、綿を運んで船から下ろして陸に揚げる仕事や、石炭を工場に運ぶ仕事など、さらに鹿児島で硫黄の鉱山を運営していた時期もあったと説明する。
国鉄の駅の取り扱いも12か所の駅で行っていたが、戦争が始まり、国からの命令で「一駅一社」となり、3分の1ほどに減ってしまったという。「祖父は資産を接収されたことの影響からか、戦後、新たに倉庫や土地を持つことに慎重だった」と振り返る。
鳥居氏は大学卒業後、ユニチカに就職して繊維業界について学び、28歳で鳥居運送に入社。平成22年に5代目社長として、父である鳥居正俊氏(現会長)の後を継いだ。
同社長が入社した20年ほど前は、売り上げの7〜8割をメイン荷主1社が占め、専属契約の名残が根強く残っていたが、「1社に頼っていては生き残れない」と、新しい仕事を手掛けるようになり、メイン荷主の比率は今では5割ほどに。「例えば、大阪の倉庫では紙だけではなく飲料や雑貨も扱うようになった。チャンスがあれば色々とやっていきたい。ドライバーの新しい仕事への抵抗感もだいぶ取れてきた」。もちろん既存の仕事も大切にしており、「現場の担当者同士で話し合いの場を定期的に設け、コスト削減や効率化への提案をさせて頂いている」という。
「平成の30年間は、景気は右肩下がりで落ち込み、また、平成元年と10年に建てた大阪の2か所の倉庫の借入金の負担も大きく、しんどい時期だった」と同社長。最近になって業界全体の人材不足、車両不足などもあり、「荷主企業も値上げに応じてくれるようになってきた。運送事業者に安さを求めていた時代から、品質で勝負できる時代へとなった」とし、「仕事内容で認められ実績を上げて利益を出し、しっかりと絵を描いて道筋を立てていきたい。そして、バブル期に上げた当社最高の売上高の更新をめざす」と力を込める。
従業員満足度を上げる取り組みも忘れない。「現場の能力が高くないと勝負にならない。顧客サービス向上につなげるためにも、従業員が仕事に前向きになり、さらにヤル気の出る態勢にしなければ」と、働きやすい現場の改善にも取り組む姿勢だ。
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