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業界正常化へ、規制強化に加えて運賃ダンピング対策を
2010年11月17日
物流2法施行後、新規参入が増加するとともに、運賃も認可制から届け出制と自由化されたことで、ダンピング行為での告発も出来ず、大幅な運賃下落につながっている。法改正から20年以上が経過した運送業界では、運賃は大幅に減少し、認可運賃時代の4トン車の運賃が現在の大型トラックの運賃並みとなり、ドライバーの給料も30万円に達しないなど、事業者だけでなくドライバーにも厳しい状況になっている。
また、最近では社会保険未加入の運送事業者も多く、ドライバーの賃金だけでなく福利厚生費まで削減する事業者も多いようだ。運輸局などでも適正化実施機関を通じて監査し、その結果、社保未加入事業者に対して指導・改善を進めているが、改善するにも費用を算出できない状況の事業者も多く、弱い立場のドライバーにしわ寄せが及んでいる。コンプライアンスの推進が叫ばれているが、いまだに過積載や過労運転、社保未加入など多数の違反行為も繰り広げられている運送業界。全国に組合員を持つ建交労では、「当組合で03年から04年にかけて、大阪府下のハローワーク(PC閲覧)で運送会社300社の社保の加入状況を調査した時に、約2割が社保に未加入だった。未加入会社のほとんどが1990年代の設立だが、この時期に物流2法が施行され、免許制から許可制に移行した時期。社保に加入しないまま運送事業を開始している。さらに運賃は届け出制となり、この時期から運賃も下落してきている」と説明。
また、「新規参入が増加し、過当競争をさせた荷主も運賃下落の要因と言える。こういった背景から、運送業界を正常に戻すには、運送事業者に対してだけの規制強化では状況は変化しにくい。やはり荷主への対策も必要。原価を割り込んでの仕事は全て労働者や事業者にしわ寄せが来て、業界全体が厳しい状況になっている」と、規制強化だけでなく運賃ダンピングを阻止する対策も必要であると見ている。
長年、運送事業者の経営をサポートしているコンサルタントも「表面上の規制強化は運送事業者を苦しめるだけ。原価を割らない運賃体制に持っていかなければ運送業界は成り立たない」と指摘。人件費や福利厚生費、車両費など全ての原価を算出して運賃収受できる環境づくりが大切とする。(佐藤弘行)
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