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新トラック運送経営のヒント(2)守りは最大の攻撃なり
2012年1月13日
ある運送会社の社長が以前、真っ青な顔で相談にみえました。数か月前にドライバーが重大事故を起こして「営業停止」になるかもしれない、ということなのです。
話を聞きますと、その社長は重大事故をドライバーが起こした当初は、まさか自分の会社が営業停止になるとは思いもしなかったそうです。しかし、国土交通省の担当者の話を聞いて、「本当に営業停止になってしまう!」ということを理解したようなのです。いまだに、自社が万一、重大事故を起こした時に、どのような行政処分や刑事罰になるのかを想定せずに、漫然と経営をしている社長がいます。スポーツに限らず、経営にも人生にも「攻撃」と「守り」のバランスが大事です。
スポーツを例に考えると分かりやすいのですが、攻撃はとても華やかで活躍しているイメージが強く、野球で言えばヒットやホームランなどがそうです。一方、守りは地味であまり面白みがありません。いわゆる投手戦で、点数がなかなか入らず動きの少ないゲームです。しかし、プロ野球を見ても、チーム打率や本塁打数が高くても優勝できず、逆にチーム打率や本塁打数がかなり低くても、防御率の良いチームが優勝するケースが多い気がします。
守りの重要性は、特に運送業界に当てはまります。「売上高前年比○%アップ」。このように、見た目にはとても華やかな経営目標を掲げている運送会社があります。そういう会社の社長は、おそらく売上高を絶えず前年比○%アップし続けることを経営目標にすることに何の疑問を持ちません。しかし、そのような社長に限って、自身の設定した経営目標が自社の将来に大きな危険をはらむことに気づいていないのです。売上高アップを目標にすると、仕事を基本的に何でも受けてしまう社内風土が出来上がります。そうなると採算の合わない仕事や過労運転を余儀なくされる仕事を受けざるを得なくなります。管理者や配車マンは目標達成のため安全が確保できない、本来受けてはいけない仕事まで受けるようになります。その結果、たった1人のドライバーが重大事故を起こし、「営業停止!」という最悪の事態に陥ってしまうのです。
守りは最大の攻撃なり。安定成長を目指す新時代の運送業経営者が持つべき根本思想です。
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