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    高速道路で重大事故が多発 「逆走」「追い越し車線で停車」

    2012年4月6日

     
     
     

    kousoku_0409.jpg 高速道路の車線上に停止していた車両に後続車が追突する重大事故が多発しており、警察や管理者である道路各社も「不法行為の防止」を含めた啓発強化に乗り出している。通行料金の割引拡充によって、それまで高速道路を利用する機会が少なかった一般ドライバーが大量に流入している状態を危惧する声は以前から聞かれていたが、高速隊の関係者によれば「最近は整備不良が原因のトラブルで緊急停止したトラックが、事故を誘発するケースも増えている」という。



     「走行車線を時速90キロくらいで走っていたが、右側の追い越し車線を走っていた自動車がどんどん近付いてくる。おかしいと思ったら、やっぱり逆走車。老夫婦が乗っていたが、その後に事故情報がなかったから無事に出口(本当は入り口)から出たのだろう」と、恐怖の瞬間を振り返る神戸市西区の運送会社社長。この類の話は近年、あまりにも多く聞かれるようになった高速道路の危険シーンだ。

     土・日曜日の「1000円高速」で一般ドライバーの行動範囲が広がる一方、不慣れな高速利用者によって従来のスムーズな交通に乱れが生じている。「一般国道の感覚で路肩に車両を止め、周囲を気にする様子もなく携帯電話で話しているドライバーを見ることは珍しくない」と、山陽自動車道のSAで休憩していた久留米ナンバーの大型車ドライバー。

     さらに驚かされたのは、広島ナンバーの大型トレーラ運転者から聞いた「中央分離帯に寄せる格好で、追い越し車線の右端ギリギリにハザードランプを点灯させて停車している軽自動車を見たことがある。後続車がかわせない状況で、夜間なら大事故は間違いない」という情報。救援サービスに詳しい関係者によれば「トラックなど高速道路に慣れたドライバーの場合は、仮に車両に不具合があれば多少の無理をしても安全な場所まで移動させようとする知識や経験があるが、一般ドライバーの多くは慌ててしまい、その場で停車してしまう例が少なくない」と指摘する。

     警察庁のまとめでは、平成23年中に発生した高速道路での事故1万1708件のうち、「車線停止車に追突」が全体の41.6%(4867件)でダントツの1位。また、西日本高速道路の管内を例に取ると、同15年からの5年間に寄せられた「逆走」の目撃情報は約2000件にのぼり、逆走車が原因で発生した84件の事故で9人が死亡。さらに、逆走事故の45%に「65歳以上」のドライバーが関係していたこともわかっている。

     前出の高速隊関係者は「割引制度のメリットが広くアピールされたことで利用者層も一気に拡大しているが、その影響が一方では高速走行に不慣れなドライバーによる不法行為につながっている」と分析。また、「整備不良のトラックが車両トラブルを起こして停止するケースが増えており、いつ事故につながっても不思議ではない状況が多く潜んでいる」と指摘する。

     一方、「マイカーにも整備不良が常態化しており、タイヤのエアチェックさえしない状態で高速道路に入っている」と道路パトロールの担当者。セルフ給油所の普及などを背景に、「ボンネットを開けるのは車検のときだけ」という一般ドライバーも目立つようになっているとの話もある。高速道路の危険情報を職場で共有化しながらの自己防衛ドライブを徹底する必要がありそうだ。(長尾和仁)

     
     
     
     
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