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直接取引に「待った」 怒鳴り込んできた仲介業者
2012年5月8日
仲介業者を飛び越えて直接取引することは、お互いにメリットがある一方で、商道徳上問題があるといった声も聞かれるが、1次下請け業者の質が悪く、やむなく2次下請け業者と取引しようとするところもある。
関西で車両20台を擁し事業展開する老舗の運送会社は昨年、車両5台を持つ業者・A社と知り合いになり以後、荷物を持っている老舗業者は定期的にA社に危険物輸送の仕事を出していた。しかし、ある事故をきっかけに荷主から出入り禁止を言い渡された。A社は昨年12月に荷主の倉庫に入った際、門柱にトラックをぶつけてしまい、門柱が傾いてしまった。入庫の時間帯から荷主がA社に責任を問うたが、黒いサングラスをかけた運転者は「俺は一切当たってない。何かの勘違いだ」と主張。しかし、荷主が門付近に装備していた監視カメラの画像を解析したところ、A社のトラックが門柱に当たっている画像がはっきりと映っていた。
それ以来、A社は出入り禁止になったが、後にA社は対人、対物、貨物の自動車保険に入ってないことが判明。加入している損保代理店から「保険料の入金がない」との情報提供が寄せられ、わかった。A社は事故が多く、また、荷物の破損、延着などで荷主からクレームが出るなど仕事量の減少と事故の増加で収益は悪化していた。
危機感を募らせたA社は老舗業者に対し、「次からは二度と失敗をしない。うちの車は行かせないから」と懇願し、親しい協力業者・B社を用意。A社の傭車として、1月からB社が仕事をすることになった。B社は交通事故や延着、商品事故などなく、運転者もマナーがよく、荷主からも好評で、老舗業者も安心していた。
老舗業者から出る運賃は相場的に決して安くはなく、むしろ高い方であった。しかし、老舗業者はA社のピンハネ率が大きく、B社の運賃が極端に安いとの情報を聞き、先月、B社と直接取引しようとした。ところが、それを聞きつけたA社が、老舗業者の事務所に怒鳴りこんできた。「社長、一体全体何をするのですか。直接私に言ってきてくれたらいいのに」と、冷や汗をかきながら話してきたという。
結局、老舗業者はA社を通じてB社を使うことを断念。現在は違う傭車を使っているが、「不景気の中でも新規参入業者が後を立たないが、自動車保険に入ってないとは言語道断。また、他人のフンドシで相撲を取ろうとしたのだろうが、まず、自社の運行をきっちりすべきだ」と話していた。(大塚 仁)
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