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第94回:貸し倒れの処理で問題に
2012年5月25日
会社の得意先が倒産すると、受取手形や売掛金が貸し倒れとなってしまいます。税務署の法人税法では、年度決算で貸し倒れとして処理した場合に損金として認めるとしています。しかし、貸し倒れがあっても損金処理せずに売掛金に残したまま決算をしていた会社があります。
その会社は金融機関からの融資で生き延びていたので、貸し倒れ処理をして赤字決算になると融資が止まり倒産してしまうのです。前期はわずかですが利益が出たので、税金対策として過去の処理しなかった不良債権を貸し倒れとして損金処理しました。今年になって税務調査が入り、この過去の貸し倒れと処理すべき不良債権を黒字決算で処理していることが問題になりました。本来、貸し倒れのあった年度で損金処理すべきところ、決算で処理されている分は過年度の貸し倒れです。税金の時効は5年で、それを超える貸倒債権の損金処理は認めません。税務調査では貸し倒れが5年以内にあったものかどうかを調べに来たのです。社長は「過去の不良債権はいつ損金すればいいのでしょう」と質問すると、その年度に処理すべきものを赤字決算だからと損金処理せず、黒字決算になったからといって昔の貸倒債権を税金対策で損金処理するような利益操作は認めないと一喝されました。
税務調査の結果は、損金処理した不良債権は5年以内のものだったので追徴金を払うということはありませんでした。社長は「赤字決算をすれば金融機関に見捨てられるし、黒字決算をすれば税務調査。本当に辛い」と話していました。
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