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    運賃アップを勝ち取った秘策は?(2)

    2012年6月29日

     
     
     

     景気の低迷や燃料価格の高騰で運賃は下落。厳しい状況が続いているが、運賃をアップさせた事業者もいる。
     今回は「運賃アップを勝ち取った秘策」をテーマに各事業者に聞いた。

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    高齢者へ宅配サービス

     JS関西奈良(田中崇公社長、奈良県大和高田市)は、軽貨物運送事業を車両20台で、大手運送会社の宅配事業などを展開しているが、今年4月からスーパーで購入した商品の宅配事業を始め、運賃アップにつなげている。

     依頼者は一人暮らしの高齢者が多く、郊外型のスーパーが増えている中でニーズは多いという。現在、橿原市と大和高田市のスーパーと提携し、スーパーから商品を受け取って自宅に届けている。食料品は冷蔵用バッグに入れて配達し、現在、1日10件程度を回っている。

     高齢者は徒歩かバスで買い物に来るケースが多いが、今までは荷物が重くなるため少量しか買うことができなかった。しかし、宅配サービスを利用することで、今まで以上に商品を購入できるようになった。スーパー側にもメリットが生まれ、買い物客に宅配サービスを宣伝している。

     地元の商店街は閑散としており、高齢者がスーパーしか利用していない点に着目して宅配サービスを開始したという。「競争の激しい軽貨物運送業界。単なる宅配事業だけでは魅力がなくなっていく。将来的には高齢者の御用聞きとして、?各家庭を回り、注文書を渡して商品を配達する?といった、昔の三河屋のように地域と密着した事業を展開していきたい」と意気込んでいる。今後、ニーズに応じて台数を増やしていく方針。(大塚 仁)

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    積み合わせで稼ぐ

     イワオ流通サービス(岩尾徹社長、大阪府高石市)は、運賃アップに向けてさまざまな努力、工夫を行っている。

     岩尾浩司常務は「現状では荷主企業も物流費の削減を図っている。運賃アップを要求すれば、他の運送会社が低い運賃を提示し、荷主と仕事が奪われる」と説明。
     荷主企業も運賃の限界があることから、同社では貸切での配送ではなく、積み合わせで、1台あたりのトラックの売り上げを向上させている。

     同常務は「4?、2?車とも距離により、運賃に多少ばらつきはある。しかし、ほとんどの荷主企業は、大阪から福井までの2?の荷物を4?車で配送しても、2?分の運賃しか収受できない。このため、配送後に福井から大阪までの仕事を行う。大阪に戻って昼走りさせて終了すると、1日の売り上げは通常の4?車の売り上げを大きく上回る」と話す。

     岡山でも8?トラックを使用して、最高で4件の積み合わせを行う。仮に2?で運賃が2万円であっても、積み合わせをすることで、合計8万円の売り上げにつながり、結果的に運賃アップになると説明する。

     現在の運賃事情について「景気の低迷で過去のような運賃の上昇は望めない。荷主から提示された運賃で、いかにしてトラック1台あたりの運賃を大幅に増やすことに着目するか。積み合わせや中距離での引き取り配送のシステムを確立することで、運賃の上昇につなげられる。今後も、もっと利益や売り上げが上がるシステムを考えていきたい」と語った。(佐藤弘行)

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    仕事の質と交渉術

     ユニック車と平ボディー車で東海エリアを中心に事業展開する松本産業(愛知県弥富市)。松本成士社長は運賃アップにはいくつかの条件が必要だと説明する。

     まず、日頃から良い仕事をしていること。「荷主にとって頼りになる存在でなければ運賃交渉のテーブルにすらつけない」。次に大切なのはキャッシュフローをデータベース化すること。運賃アップの根拠を荷主に示せれば説得力が増す。また「カネの流れをつかめれば、その仕事を切っていいものかどうかの判断もでき、交渉にも強気に臨むことも可能」と話す。そして相手の内情も良く理解しておくことも重要だという。「たとえば、相手がサラリーマンの場合なら、上司に説明できる妥協点を設定してあげるなど、相手の顔を立ててあげることも交渉するうえでは必要」。

     同社はこれまで幾度となく運賃アップに成功している。その一方で、交渉が決裂し仕事を打ち切ったこともあるという。「交渉のテクニックは必要だが最終的には社長自身が勇気を持つこと。?行くも地獄、引くも地獄?なら撤退も覚悟のうえで相手と真剣に向き合うしかない」と話す。(加藤 崇)

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    値上げも値下げもしない

     「数年前のサーチャージ問題のときは、荷主にすべて説明した」というのは、びわ貨物運送(滋賀県彦根市)の西村嘉次専務。「それ以外で値上げをお願いしたことはない。そのかわり、値下げについても飲まない」という。

     「どうしてもという申し入れがあった場合、なんとか説明して条件を軽くしてもらう。朝イチの仕事と昼の仕事があった場合は、二つ合わせて運べるようにするなどの擦り合わせをしている」と同専務。「運送業界内で運賃の叩き合いをしても何も始まらない」とも指摘する。(小西克弥)

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    「人件費」メーンに訴え共感呼べる理由付け

     日本ロジファクトリーの青木正一社長は、「燃料価格の高騰に加え、ドライバー不足やコンプライアンスの強化など、運賃交渉のチャンスが到来している」と語る。「まずは相場を把握し、荷主に対して自信を持って、妥当かつ適正な運賃を伝えるべき。自社の車両別原価計算表を作成し、提示することが重要」とする。

     交渉のポイントは、「燃料費ではなく、人手不足を前面に打ち出す」こと。というのも、「運送会社の原価構成比に占める燃料費の割合は全体の数%とわずか。一方、人件費の割合は約50%を占め、圧倒的に高い構成比で何よりインパクトがある」という。

     同氏は、「燃料価格の高騰というテーマは、荷主からは『あなたたちの業界のこと』として片付けられてしまうが、人手不足などの理由は『我々も困っている』として共感を呼べる」とし、「環境保全コストやコンプライアンスへの対応コストの増加も理由付けには有効」と付け加える。(大西友洋)

    甘言に注意! 自ら戒め

     地道な営業活動で売り上げ向上を図っている兵庫県内のA社。最近は、ドライバーに名刺を持たせ、積み下ろし現場で知り合った人にあいさつをするよう指導している。

     しかし、様々な人が出入りする現場には、ワナが仕掛けられていることもある。
     今年3月に大阪府内のX社から送られてきたファクスには、運賃設定が高めの仕事が多くあり、5月までに合計100万円にのぼる仕事を受注した。しかし、支払い時期になって連絡を取ろうとしても電話はつながらない状態。

     A社長は、「直接に会って話もしていない私の落ち度」と話しながら、「甘言に注意」と自戒を込めて口にしていた。(西口訓生)

     
     
     
     
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