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利用業許可、廃止を回避 取引先に利用運送事業者を明記
2012年7月25日
もともと貨物利用運送事業のみの許可がある会社が一般貨物自動車運送許可を取得する場合、現在は同許可にセットで利用運送事業の許可が付いているため、持っていた利用許可は廃止するよう行政から指導される。ところが、その会社が不景気などの理由で一般許可を廃止し、再び利用業許可のみで営業したいと希望しても、利用業許可も廃止になってしまう。東海地方の運送会社は一般許可の取得申請時に利用業廃止の指導を受けたが、「せっかく取得したものを廃止したくない」と食い下がったところ、あるアドバイスをされたことで廃止を回避することができたという。
創業20年のS社はもともと、トラック利用運送(第一種貨物利用運送事業)のみを生業として、これまで順調に事業展開してきたが、ある日、メーンの取引先から「今後、新規の仕事も増えそうなのでトラックを持ってやってみてはどうか」と強く勧められた。魅力的な話だと感じたS社社長だが、「トラックという資産を増やして、いざ仕事がなくなった場合、ウチのような零細は吹き飛んでしまう」とリスクも感じていた。そんな時、知り合いの運送会社からトラック数台を買ってくれる会社を探してほしいという打診があった。比較的良心的な価格だったこと、現在は中古トラック市場も高値で推移していることもあり、「やってみてダメならトラックを売り払い、また利用に戻ればいい」と考えた同社長は、トラックを自社で買い取り実運送に進出することを決意した。
そして運輸支局に許可申請の届け出をしたところ、持っている利用業許可を廃止するよう指導された。理由を聞くと、貨物自動車運送事業法により平成15年以降、一般と利用がセットとなっており、既存許可と重複しないための措置だという。不安に感じた社長は、もし一般をやめた場合はどうなるのか聞くと、担当者は「セットなので、もちろん両方とも廃止となる」と回答。つまり、もしこの先、一般を廃止した場合、もう一度、利用業許可を取得しなければ元の仕事ができなくなるのだ。
利用業許可の免許税9万円、行政書士への依頼費用を合わせると約15万円という金額が取得にかかる。そこで同社長は、許可を廃止したくないと食い下がったところ、担当者は「申請書類に記入する登録運送機関に、利用運送事業者の名前を1社でも明記すれば廃止とはならない」と教えてくれた。相手に利用運送事業者がある場合、貨物自動車運送事業法ではなく、貨物利用運送事業法が適用されることから、廃止されないのだという。
こうして利用許可も維持しつつ、一般許可を取得した同社長。「ジタバタしなければ、そのまま利用運送許可は消えていただろう。多くの会社がすべての許可を喪失して、新たに利用業許可を取り直したのではないか」と心配する。この件について、愛知運輸支局では「一般を廃止して利用のみに戻るケースは、これまでほとんどない」と前置きしたうえで、「申請書類を見て取引先に利用運送事業者がなければ、あえてこちらからアドバイスをすることはない」と返答する。(加藤 崇)
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