銀行の住宅ローンでマイホームを購入した方が亡くなりました。死亡時に住宅ローンを含めて債務超過の状態にありました。財産よりも借金の方が多いという状態です。

　債務超過になっている個人が、財産よりも借金を多く残して死亡した場合、家族は財産はもちろん、借金も相続しなければなりません。しかし、残された家族が返済不可能な場合には、家庭裁判所に相続放棄の申請ができます。相続放棄が認められると、財産は引き継ぎませんが借金も返済しなくていいことになります。

　この亡くなられた方の家族も、借金を引き継ぐのが大変と思い、相続放棄の手続きをする予定でした。しかし、銀行から借り入れの際に、団体信用保険に加入していたことが原因で相続放棄の申請ができませんでした。

　団体信用保険とは、住宅ローンを組んだ本人が亡くなった場合、残額を保険会社が銀行に支払うというものです。つまり、家族は財産であるマイホームと借金の住宅ローンを相続するのではなく、マイホームだけを相続するということになります。
　これで住宅ローンの残額は、故人の借金ではないことになってしまいます。これが相続放棄できない理由でした。

　家族はマイホームを相続したのですが、まだ他に残された借金を引き継がなければなりません。そこでマイホームを売却して借金を返済することを考えています。早く借金を返済して身軽になりたい、と言っていました。