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トピックス
運送会社のドライバー「リフトマン」として荷主に派遣
2012年10月18日
最近、特定労働者派遣の届け出を行い、自社のトラック運転者をフォークリフトの運転者として荷主に派遣する運送会社が増えているという。トラックで荷物の積み下ろしの際にリフト操作するのではなく、リフト操作だけの派遣である。派遣業では派遣元が社会保険や労働保険に入る必要がある。コンプライアンスが叫ばれる中、自社で社員を抱えて経費をかけるより、普段使っている運送会社から人材を派遣させて、労務コストを削減しようとする荷主側の思惑があるようだ。
関西のある運送会社では、荷主からの要請で、先月から自社の運転者を荷主の倉庫にリフトマンとして派遣している。トラックを運転することはなく、黙々と倉庫内でリフト作業を行っている。月曜日から金曜日まで週5日勤務で、終日得意先に常駐させている。時間給で働いているが、同社では従業員全員、フォークリフト運転の資格を取得しており、長年、物流の現場でリフト作業に慣れている分、荷主からは定評があった。
フォークリフトは荷主の所有物であるが、運送会社は賠償保険、荷物保険に加入させられ、倉庫内における事故の全責任を負っているという。運送会社社長は、「トラックの仕事が減って、車が遊んでいた中で、フォークリフト運転者の派遣の要請があった。仕事の確保が難しい中で願ったりかなったりだ」と話している。
特定労働者派遣は、自社の社員を必要なときに他社に派遣するもので、厚生労働省へ届け出を行う必要がある。労働者の派遣については、一般労働者派遣と特定労働者派遣に大きく分けられるが、一般労働者派遣は、厚生労働大臣の許可事業で厳しい要件を満たす必要があるが、特定労働者派遣は、派遣元の常用雇用労働者(正社員)を派遣先に派遣するもので、労働者は雇用が保障されている分、一般労働者派遣よりも緩い届け出事業となっている。
運転者は派遣元の運送会社の就業規則、賃金規定に従い、派遣先の指揮命令下で働くが、派遣期間は原則1年で最大3年。スポットの派遣も可能で、派遣先の需要に応じて事業を行うことができる。賃金は、派遣元の賃金規定による。
派遣事業に詳しい行政書士によると、「リフト作業要員として運送事業者からの派遣は今年に入って急に増えており、大半は荷主からの要請。荷主が自社で倉庫要員を雇えば給与も一定の水準で支払わなければならず、当然、法定福利費も発生してくる。荷下ろしや積み込み作業は今、運送会社の運転者がすべてやっている状況で、リフトの資格がないと入場禁止のところもある。必要なときだけ人材を派遣してもらえれば、荷主にとって人件費の削減になり、また、事故が起こった場合でも運送会社に責任を負わせればよく、リフト操作に長けたトラック運転者は引っ張りだこだ」と話す。(大塚 仁)
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