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「必要運賃額」打ち出す 国政研が国交省に訴え
2012年11月2日
トラック運送事業の「新しい運賃・料金のあり方」について調査・研究を進めてきた国土政策研究会(国政研、岩井國臣会長)が「必要運賃額」という考え方を打ち出した。車両ごとに車両償却費、重量税、自動車税などの経費、保険料、燃料費、修繕費、給与・賞与に労働保険、社会保険などを加えた人件費などを設定条件に「営業利益率2%」で計算するものだが、実際には収受できていないことも判明。国政研では今後、必要運賃額を算出するため独自に考案した「必要運賃参考計算式」の採用を国交省に訴えていく。また業界への普及に向け、来年早々、国交省担当官を招き大規模なシンポジウムを開催する。
国政研では、岡田清成城大学名誉教授ら多数の学識経験者とともに、認可運賃に代わるものとして「運賃に関するガイドライン」(仮称)を検討してきた。しかし、独禁法の問題などから業界でガイドラインを作ることはできず、「運送委託者が必要とする『目標運賃額』と運送受託者が必要とする『必要運賃額』とのしかるべき調整が必要」との結論を得た。このため、運送委託者が実際に使っている「目標運賃計算式」について「われわれは把握していない」として、国交省に実態調査の実施を求めていくことを決めた。
「法令順守のための経費」を車種別に明示すれば荷主からもらうべき運賃・料金は自ずから明確になる――との視点で、東京地区と大阪地区で、中小トラック事業者を対象に車両ごとの緻密な調査を実施。その結果、目標運賃額に対する実際の収受運賃は「東京地区で平均83%、大阪地区で同80%。必要運賃額を上回っているケースは皆無だった」と小浪博英国政研専務(帝京平成大学教授)は話す。
「この赤字補填はどうしているのか。考えられるのは?資本金などの取り崩し?倉庫などの他事業で補填?任意保険・人件費・管理費などの節約ということになる」。また、車両償却年数は法定4年のところ、5年、8年はザラで、9年、10年、12年と「車両をこき使っている」実態も判明したという。
10月23日に東京都内で開かれた国政研運輸部会には、国交省自動車局貨物課の是則武志企画調整官が出席し、意見を交換した。折りしも、最低車両台数・適正運賃収受WG(野尻俊明座長、流通大学教授)が「最低運賃」「標準運賃」に否定的な見解を示したばかり。民間の「コンプライアンスに基づく視点」による研究で生まれた「必要運賃額」に、国はどう対応するか注目される。(土居忠幸)
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