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中小に安値で依頼する荷主 大手が運賃値上げで「中小なら…」
2012年12月5日
景気低迷や中国との領土問題による輸出入の減少などから、物量が年末に近づいても増加しないため、運賃を下げて物量を確保する運送事業者も多い。そんな中、一部大手運送事業者では年末の繁忙期を予測して運賃の値上げを行うなど、末端の中小・零細事業者にとってはありがたい話も聞かれる。だが、大手事業者の運賃値上げに対して荷主企業は、末端の運送事業者はこれまで通りの低額運賃で引き受けてくれるのではとの思いで運送依頼、運賃見積もりを行うケースが増えているようだ。
大阪府泉大津市で一般雑貨を扱う運送会社は、「先日、もともと当社とも一部取引のある荷主企業が、今まで使っていた大手運送会社の運賃値上げから、当社に対して今までの運賃で仕事を行ってほしいとアプローチがあった」という。しかし、「今までの運賃というのは大手運送会社の運賃で、ロット数の多い仕事であることから大手運送会社が低額で受けていた運賃を示してきた。昨今の人手不足、燃料価格高騰などから、当社では採算が合わないと断ると、荷主は、大手でも応じていた運賃であるため、当社なら仕事を受けてもらえると思っていたようだ。われわれ中小も大手と同じくらいコストがかかっていることが全く理解されておらず、今の荷主は中小運送事業者を便利屋のように思っている」と、荷主のアプローチに激怒していた。
また、大阪市平野区の雑貨輸送を行う事業者でも「大手が今までやっていた運賃で当社に輸送を依頼してきた。しかし、大手と同じように中小の運送会社でも燃料価格高騰などコストはかかる」と指摘。「大手は仕事を確保するため、初めは低額で仕事を確保するが、これからの繁忙期になると運賃を値上げして荷主のハシゴを取ってしまう傾向が強い。このことに気付きながら、荷主も、いざと言うときは中小の運送会社が、安くても仕事を取りにくると勘違いしている。今は運送事業者が意識を高め、低額運賃の仕事を請け負わないことが必要と思われる」と話す。(佐藤弘行)
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