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    元従業員が就業規則ねつ造 「不作成」の弱みつき未払い金請求

    2013年1月10日

     
     
     

    copy_0101.jpg 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、必ず就業規則を作成し行政官庁に届け出なければならない。一方、規模10人未満の事業場には就業規則作成は課せられていないものの、作成しておくことが望ましいとされているが、行政官庁に届け出る必要はない。このほど愛知県の運送会社で起こったトラブルは、まさに就業規則不作成の隙をつかれたものだった。



     名古屋市のある運送会社社長は身に覚えのない請求書類に頭を抱えている。昨年10月、10年近く勤め6月に結婚のために退職した女性元従業員から、未払い賃金として約220万円余の請求書面が内容証明郵便で届いた。請求書面には、同社がまったく関知していない「就業規則」および「給与規定」コピーが添付されており、その内容に基づいて、賞与・退職金・結婚祝い金が未払いであるとの主張がされていた(写真)。

     実際には、同社の従業員は常時5?8人しかおらず、就業規則の作成や労基署への届け出はしていなかった。しかし、届け出をしていないことがアダとなり、元従業員が送り付けてきた就業規則などが「ねつ造された物」であることを証明できない結果となってしまったのだ。

     県内のある社労士は、「就業規則の届け出義務がなくても、作成して従業員に開示しておくことが望ましい。しかし、小規模な事業所ではほとんど作成すらしていないのが現状」と説明する。

     元従業員は、この規定の狭間をついており「私の勤めていた会社は就業規則を作成し開示していた。添付したのは、そのコピーである」と主張しているのだ。しかし、同社からみれば届け出をしていないので、第三者に「これは原本と違う」という証明をしてもらうことができない。

     社長からみれば、ねつ造であることは確かなので、この女性に対し10月29日付の内容証明郵便で「(公文書偽造・恐喝などで)警察に告訴する」と通知した。すると、しばらく音沙汰がなかったことから安心していたが、11月半ばに今度は労基署から社長宛に連絡があった。女性が駆け込んだのだという。

     担当の監督官に事情を説明したところ、結果として「賞与の規定の中で、会社の業績が良ければ支給するという決まり文句が記載されておらず不自然」「給与規定とともに就業規則に添付されていた退職金規定が、充実かつ優遇されており、大企業でもない限り有り得ない」などの理由から、会社が作成したものとは信じ難いと判断された。さらに、給与規定に「平成12年9月制定」と記載されているが、この制定日に会社には役員6人しかおらず、社員は1人も存在しない状態だったという主張も認定され、労基署は今回のトラブルに一切介入しないこととなった。

     今後、元従業員が裁判に訴える可能性があるものの、同社長はあくまでも毅然とした対応をしていく考えだという。「今回のような手口で攻撃されると防ぎようがなく、脅威を感じた」と話す同社長。こうした体験を踏まえ、「就業規則の作成と労基署への届け出は企業の防衛手段として、しっかり整えておくべき時代かもしれない」と警鐘を鳴らしている。(加藤 崇)

     
     
     
     
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