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時間管理で失った活気 モチベーション低いドライバー
2013年3月4日
長距離輸送や荷待ち時間、そして道路の渋滞と、ドライバーの労働時間の管理は難しい。そのため、「ドライバーに一般の労働時間をはめ込むのはおかしい」と矛盾を訴える声も業界内では聞かれる。しかし、そんな声とは裏腹に、過労運転で会社への罰則強化が進む中で、事業者はドライバーの労働時間の管理を否応なく迫られている。会社存続のため労働時間の削減を図る業界だが、その一方で、モチベーションが下がり、活気を失っていくというギャップに悩む事業者がでてきている。
首都圏の事業者は、労基署の通報を端緒に国交省の監査が入り、車両停止の行政処分を受けた。これを機に、法令順守の徹底を図っていくが、ドライバーの労働時間の管理も当然、取り組まなければならなかった。まずは、月293時間の労働時間を死守することからスタートした。パソコンでドライバー一人ひとりの労働時間を管理し、293時間を超過しようとすれば近場の仕事に振り替えるなど、配車を工夫しながら対応しているという。同社の給与体系は、それまで歩合制だったが、固定給に切り替えた。仕組みを変える中で、労使間で衝突が生じた。給与体系の変化で賃金の下がったドライバーが不満を口にしてきたのだ。会社の置かれた状況を説明し、説得に当たった社長だが、結局、数人の退職者を出してしまった。残りのドライバーは会社の指示に従って仕事をこなしており、何のトラブルもないという。しかし社長は、ある種の危機感を抱いている。
それは、社内に以前のような活気がなくなったことだ。以前は労働時間に関係なく、ドライバーが元気に働いていた。仕事によっては多少きついものもあったが、文句も言わずこなしていた。意欲の高いドライバーが会社を引っ張っていたのだ。
「外から見れば法令を順守した会社に映るかもしれないが、実際は活気を失った魅力のない会社になってしまったのではないかと、日々自問自答している」と、本音を打ち明ける。
業界には、自らトラックに乗り、会社を立ち上げてきた事業者が多い。そんな事業者らは、寸暇を惜しんで仕事をするのが当たり前であった。居眠り運転を防止するために火のついたタバコを指に挟んだまま運転していたという強者もいた。
トラックによる重大事故が社会問題化した以上、昔のような無茶が許される時代でもない。ただ、労働時間の削減に取り組んだ事業者からは、「会社に活気がなくなった」「ドライバーの仕事への意欲が薄れている」「忠誠心など今は昔」といった声が聞かれるのも事実である。(高田直樹)
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