Now Loading...
 
  • トピックス

    運送事業と固定資産税 バラス敷車庫の理由は…

    2013年5月29日

     
     
     

    syako_0527.jpg 「車庫にアスファルトを敷かないのは、固定資産税の節税のためなんだよ」。近畿地方の運送事業者がそう話すのを聞いて不思議に思った。舗装があろうがなかろうが車庫という用途に変わりはなく、使える面積が変わろうはずもない。なのに、税負担に違いがあるのはどうしてだろう?



     バラス敷きの車庫を近畿地方の都市部に構える運送事業者。車庫と同じ敷地内には、自宅兼事務所も建てられている。敷地面積は100坪程度。自宅兼事務所の建物も道路に面して建てられてはいるものの間口は広く、建物の裏にある車庫用地への通路も3?以上確保できている。車庫用地、通路ともにバラス敷きだ。

     「周りに住宅が多いので、バラス敷きは面倒なことも多い。深夜に出入りするトラックがバラスをはじく音が近隣に迷惑だなと感じるし、出て行くトラックが道路にバラスをまき散らしてしまうため掃除も欠かせない。そうはいっても、車庫の固定資産税が上がることを考えると、なかなか舗装に踏み切れない」と社長は話す。

     だが同事業者も、舗装をすれば実際に増税になるかどうかには詳しくなく、知人からそうした内容を伝え聞いたに過ぎない。自治体の固定資産税担当者によると、車庫用地が舗装されているか否かによって固定資産税が上がるという課税基準はないという。しかし、アスファルトを敷いたことをきっかけとして固定資産税部署が動くことは多いという。

     担当者らは、空き地に建物が建てられることなくアスファルトが敷かれる場合、他人に賃貸して駐車場業を営むことが多いからだと口をそろえる。担当部署は年1回、業者などから航空写真を入手し、昨年の分と突き合わせることで建物の変更などはもちろん、アスファルト敷きになっていないかどうかもチェックし、実際に調査員が現地を訪れるなどするという。

     土地に対する固定資産税は、住宅用地(建物の敷地と庭などの部分の合計)として使用されている場合、課税標準額を6分の1ないしは3分の1にまで減額して扱う特例が設けられている。住宅用地の税負担を軽減させるためだ。複数の自治体担当者によると、先の事業者の固定資産税が現在、実際に減免されているとすれば、住宅用地として扱われているからに他ならない。

     ある自治体担当者は、「なぜ、住宅用でないのに住宅用の税率が適用されているかは個々に調べないと分からない」とし、固定資産税の課税漏れがある可能性を否定しない。固定資産税と物流業界の接点は、倉庫などの建物にもある。

     近畿地方のあるメーカーの物流倉庫は実際には複数階建ての建物として使われているが、1階のプラットホームから上階までの床面積は登記上、あるいは固定資産台帳上も記録されていない。プラットホームから上階までは足場を組んだような状態になっている。「建物の建築価格を下げることで固定資産税を下げる目的もあるのだろうと思う」。管理者はそう話すが、真偽のほどは分からないという。

     別の資材置き場では、建物の固定資産税そのものが発生しないような「建物」が現存する。コンテナを複数段積み重ねてコの字型の空間を作り、そこに屋根をのせたものだ。雨どいなども完備し、屋根には雨などの重量負担がかからないように工夫されている。

     自治体の固定資産税担当者は、「確かに建物としての固定資産税はこの場合、全く発生しない。しかし、資材に使われるコンテナや屋根に関しては、同じ固定資産税の償却資産としての扱いから課税されているはず」と述べるにとどまっている。(西口訓生)

     
     
     
     
  •  
  •  
  • 「トピックス」の 月別記事一覧

     
  • トピックス」の新着記事

  • 物流メルマガ

    ご登録受付中 (無料)

    毎週火曜に最新ニュースをお届け!!

    ≫ メルマガ配信先の変更・解除はこちら