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新トラック運送経営のヒント(68)注意すべき記録簿改ざんの疑い
2013年5月31日
「深夜・早朝の対面点呼なんてやっていたら運送業経営なんかやっていけない。点呼簿をうまくごまかすしかないよ」。社長さんのお気持ちはよく分かりますが、時代錯誤も甚だしいです。高速ツアーバスの多重死傷事故を受けて安全規制が強化されます。トラック協会から国土交通省への通報。これも安全規制強化の一つです。
今年10月1日スタートです。点呼が全く実施されていないと疑われる場合。運行管理者または整備管理者が全く不在と疑われる場合。3か月点検を全く実施していないと疑われる場合。この三つに該当する場合には、トラック協会から国交省へ「速報」されることになります。ご存知の方も多いと思いますが、この三つの違反は「30日間の営業停止」になる重要な法令違反に当たります。今後、トラック協会の巡回指導を甘くみた運送会社が厳罰を受ける事例も出てくるでしょう。とはいえ、賢明なる読者の皆さんは上記のような法令違反はしていないのではないでしょうか?
それよりも注意すべきこと。それは「記録簿の改ざん」が疑われる場合です。例えば点呼記録の改ざん。深夜・早朝に、実際は対面点呼を実施していないにもかかわらず実施したように記録を残すこと。これは立派な改ざんです。しかし、あまりためらいもなく「対面点呼」と記録している方もいるのではないでしょうか?
この「記録簿の改ざん」と疑われる運送会社について、今後、運輸支局とトラック協会で設置する「定例会議で個別相談」をされるようになります。疑いが強ければ「重点監査対象の事業者」に認定され、国交省の「抜き打ち監査」の実施につながるでしょう。対面点呼の実施は点呼記録で体裁を整えればバレない。そう思っている方も多いです。しかし、いざ「改ざんの疑い」をもたれれば、内偵捜査もありうるのです。深夜・早朝に営業所に灯りがともされているか。点呼者とドライバーが出入りしているか。国交省はこれから、この点の調査についても力を入れてくるでしょう。
中途半端な改ざんは簡単に見破られます。見破った上での監査で、「本当に深夜・早朝の対面点呼を実施していますか?」の質問に「やっている」と、やっていないにもかかわらず、「虚偽の陳述」をしたらどうなるか? 「30日間の営業停止」というとてつもない大きな代償を払う結果となるのです。「トラック協会の巡回指導をバカにしない」。日々誠実に記録簿を作成することが大切な時代となりました。
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