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    支払い明細に要注意 時間外手当と歩合給確認を

    2013年8月28日

     
     
     

    truck3_0826.jpg 世間一般の事務職と異なり、荷主などの都合に合わせて動く物流の現場では、就労時間、特に時間外手当などについて、度々問題が浮き彫りとなる。しかし物流業界に限ったことではなく、不動産業、ホテル業でも同じような問題が起こっており、昨年8〜10月にかけて3件の賃金支払いの判決が言い渡された。結果、時間外手当を支払っていたにも関わらず、支払い方法に不備があったため、会社側は膨大な追加支払いが課せられている。時間外手当、歩合給の支払い方法について再確認が必要なようだ。



     平成24年8月28日、東京地裁で「アクティリンク事件」(不動産会社元従業員2人が割増賃金を請求)の判決が下った。さらに、同年9月4日には同地裁で「ワークフロンティア事件」(元従業員9人が未払い割増賃金などを請求)、同10月19日には札幌高裁で「ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件」(元料理人が賃金減額分差額と割増賃金を請求)の判決が出され、いずれも経営者側が敗訴。これらの会社には就業規則も労働契約書もきちんとあったが、唯一、時間管理がルーズであったという点のみ共通していた。

     「みなし残業手当」などで毎月、一律額が支払われている場合には「形骸化しているものは基本給としてみなす」という判断が下され、時間外手当を支払っていたにも関わらず判決では認めてもらえず、更に、支払ったはずの時間外手当が基本給に組み込まれ、契約時より高い給料額で時間外賃金を計算されるという、まさに踏んだり蹴ったりの状況になる場合もある。

     ドライバーの給料制度で、多く見られるのが「歩合給」制度。やる気を起こさせるインセンティブとして導入している事業者も少なくないが、歩合給に「時間外手当を含む」として支払っている場合は注意が必要だ。歩合給以外の給料形態と共通したポイントは、何時間相当の時間外賃金なのかの記載がないと、時間外賃金の支払いとして認められないことだ。これはみなし時間外手当も同様で、何時間相当の賃金を支払っているかが分からなくてはいけない。中央労基署によれば「自分が何時間働いたものに対しての報酬か、時給計算ができる内容でなくてはいけない」という。

     歩合給に関して、例えば、基本給17万円、歩合給12万円、月間所定労働時間170時間で、実労働時間が200時間だった場合、基本給の時間外割増賃金の計算式は(17万円÷170時間)×1.25×30時間=3万7500円、歩合給の時間外割増賃金の計算式は(12万円÷200時間)×0.25×30時間=4500円。従って総支給額は17万円+12万円+3万7500円+4500円=33万2000円となる。

     紹介した判例は運送業界外だったが、条件としては運送業界との共通点は多い。前出の労基署では「地方裁判所での判例は個別に処理されるが、最高裁での判例は、その後、労働契約法改正につながるケースも多い」と話す。さらに「法律と違い、改正された内容に従って、過去3年間遡って対応を求められる場合もある」。きちんと支払ったはずの時間外賃金が認められず泣きを見ることがないよう、賃金の支払い明細には注意が必要だ。

     
     
     
     
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