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    機器任せで新たなリスク 西鉄観光バス、飲酒検査不正問題

    2013年9月2日

     
     
     

    alco_0902.jpg 西鉄観光バス(福岡市博多区)の49歳のドライバーがアルコール検知器のマウスピース(ストロー)に細工し、飲酒検査で不正を働いていたことがトラック業界でも波紋を呼んでいる。今回明らかになった不正行為は、ストローに穴を空けてチューブを差し込み、別のドライバーが横から息を吹き込むというもの。携帯電話のカメラ機能と連動し、検査時に顔写真を撮る不正がしにくい高性能なモバイル型の検知器で行われたということも衝撃が大きい。



     飲酒運転防止上級インストラクターの資格を持つトライプロ(東京都世田谷区)の高木宏昌社長は、「観光バス業界では、写真が撮れる製品が出てくるまでは、宿泊先の従業員に協力してもらうなど、誰かが見ている前で検知器を使っていた。技術が進歩したことで、逆に人の目が届かないという新たなリスクが発生している」と嘆く。

     また、「数回の飲酒検知で解雇になるといった社内規定の厳罰化も影響している」と指摘。「仲間内での『かばい合い』や『ごまかし』が横行する。社内ルールを厳しくしたことでアルコール検知器に引っかかる人がいなくなったと喜んでいたら、実は…というケースもよくある話」。

     検知器メーカーのサンコーテクノ(千葉県柏市)の坂口正一氏は、「専用のマウスピースを採用するなど対策は講じている」としながらも、「風圧センサーの精度強化も考えられなくもないが、機器的な仕様変更での対策は製品価格に大きく影響するため非常に悩ましい。これ以上はドライバーのモラルの問題になってくるのではないか」と語る。検知器業界最大手の東海電子(静岡県富士市)は、「現段階でのコメントは差し控えさせていただきたい」とのこと。

     不正を働いていたのは乗務歴22年4か月のドライバーで、加担した56歳のドライバーも20年8か月のキャリアを持つベテランだった。トライプロの高木社長は、「検知器はあくまで?ツール?と理解し、荷主に協力してもらうなど人の目とどう組み合わせれば抑止力が増すかを考えるべき。日々の飲酒検査は問題がないことを確認するだけの面白みのない形骸化しがちな業務だが、機器やシステム任せにしないことが重要」とする。

     トラック運送業界でも義務化された「アルコールチェック」は、平成23年5月1日から施行されているが、バス業界でもチェックが義務付けられている。

     警察庁によると、平成25年上半期での酒酔い運転死亡事故件数は11件。前年から3件減少と、平成15年の86件に比べれば大幅に減少してはいるものの、飲酒運転撲滅が強力に進められて10年が経つが、実現されていない。

     義務化以前、運送事業者でも10人ほどのドライバーが、アルコールが検出されると身代わりのドライバーに再検査を受けさせるなどの行為を日常的に実施していた例もある。

     
     
     
     
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