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理解に苦しむ「業界の常識」 労使間のトラブルに発展も
2013年9月19日
過日、運送会社のドライバーを名乗る男性から本紙へ1本の電話が入った。「酷いピンはねに遭っている。どうにもやりきれない」という怒りの電話だ。聞けば男性が所属する運送事業者は、5次、6次の下請けで大手路線会社からの仕事を請け負っているとのこと。「現場の住所は既に聞いているのに、個人の携帯電話から別会社に電話をさせられる。すると、相手方からファクスが流れてきて?ここに確認印をもらって来い?と指示される」という。「指示書というにはあまりにお粗末で、すでに聞いている住所が記されているだけのもの。中間マージンを取るためだけに不正に絡んできている業者ではないか」と不信感を募らせる男性だが、実際のところはどうなのか。
埼玉県内で取扱事業を営む事業者は、「業界では6次、7次(請け)は当たり前。手数料商売をしている会社もあるが、許可があれば違法とはいえない」と、今回のケースについて説明する。その上で、「会社のやり方は色々あるだろうが、合法的に行っているはずで、それが合わなければ他へ行けばいいだけの話」と一蹴する。業界では、取扱事業者が高い手数料を取って、実運送事業者の経営を圧迫しているとの批判もあるが、「営業力のない会社に仕事を振ってあげている」という側面もあるのが実情。
取扱事業者が介在することで成り立っている荷主と実運送事業者の関係も多く、営業力の弱い事業者にとっては、なくてはならない存在といえる。
「6次請けで仕事をもらい、ドライバーが直接、先方に仕事内容を確認する」というやり方は、業界では決して珍しいものではない。しかし、今回のケースのように、事業者にとって当たり前のことでも、従業員が理解に苦しむような仕事のさせ方は、「この業界では常識だから」では通用しなくなってきているのかもしれない。
今回、男性は「ピンはねの構造」以外にもあるという。「商品事故があった場合は100%ドライバー負担」「月曜日に出発して、土曜日まで家に帰れない」と吐露し、持っていき場のない不満を本紙に電話で訴えていた。
社員の理解を得ないままに「事業者の常識」を押し付けていては、労使間のトラブルに発展することも十分に考えられる。今一度、会社と従業員の関係を見直すことも必要だといえよう。
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