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    訴訟が増加 コンサルがまとめた未払い残業請求事件

    2013年10月16日

     
     
     

     未払い残業代訴訟が増えている。労務問題に対応する関西の経営コンサルタントには近年、多数の経営相談が寄せられるようになったが、多くが未払い賃金の案件であるという。コンサルがまとめた「未払い残業請求事件」には昨年から今年にかけて9件の訴訟案件が記載されているが、請求金額が1人で2447万円(平成25年5月訴状提出)に上っているところもある。コンサルは「運賃の下落が長時間労働を招き、その結果、運転者にしわ寄せが来ている。弁護士も過払い金訴訟が終わりを迎え、未払い金問題にシフトしようとしており、防衛策は必要」と注意を呼びかけている。



     9件の取扱事件中、現在も係争中の案件は6件ある。大阪府では、茨木市の運送会社が2447万円を請求されている訴訟以外に、八尾市の運送会社で4人が計7418万円請求する訴訟(平成24年11月訴状提出、大阪地裁)、交野市の運送会社で1人が730万円を請求する訴訟(同25年7月、同)を起こしている。

     奈良県の運送会社でも1人が1386万円を請求する訴訟(同25年6月、奈良地裁)を起こし、兵庫県の運送会社でも4人が計1246万円を請求する訴訟(同24年5月、神戸地裁)を、1人が864万円を請求する訴訟(同25年5月、同)を起こしている。

     滋賀県の運送会社で1人が521万円の請求訴訟(同24年11月、大津地裁)を起こした件は120万円で和解が成立。兵庫県の運送会社に1人が102万円の請求を行った訴訟(同24年11月、神戸地裁)は50万円で和解が成立。大阪府枚方市の運送会社に1人が682万円(同24年11月、大阪地裁)を請求した訴訟では、370万円で和解が成立したが、その後会社は倒産している。

     同コンサルは「未払い残業訴訟は法律自体に問題がある」と指摘する。一つ目は賃金請求権が2年間有効で、未払い賃金を2年間さかのぼって支払う必要があること。二つ目は会社を退職しても請求できる点。賃金請求権が2年間有効なため、退職後でも請求できる。8件の訴訟案件では、ほとんどが退職した従業員による訴訟である。

     三つ目は付加金。これは裁判所が悪質な不払い事案だと判断した場合に命じられる罰金のようなもので、請求金額と同額になるケースが多く、支払い額が倍額になってしまう。「労働審判の段階では付加金は科されないが、物別れになり裁判になった段階で課されるケースが多く、これで困っている経営者が少なくない」と話す。

     また、同コンサルは「ここ数年前からインターネット、週刊誌などで『残業代を取り戻せ!』『残業代を請求するか悩んでいる方へ』『残業代を請求することは労働基準法で認められた正当な権利です』などと大量に宣伝されており、会社としても防衛策が必要」と訴える。

     防衛策としては、就業規則・賃金規定・給与明細・雇用契約書・36協定など、諸規定の整備の重要性を訴える。例えば、6時出勤の従業員が5時45分にタイムカードを押しても6時出勤とする協定や、日報に休憩時間の書き込みを徹底させていく環境作り。給料面では基本給だけで支払うのではなく、賃金台帳には基本給、歩合給と残業代を分けておくことなどをアドバイスする。

     「未払い賃金訴訟は氷山の一角。弁護士にとっては請求金額が多いほど有利になり、いくらでも膨らましていく。未払い賃金を巡るトラブルは増加の一途をたどると予想され、対応策を怠ると会社の死活問題になりかねない」と注意を呼びかけている。

     
     
     
     
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