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    荷主の無理難題で過労死? ほど遠いパートナーシップ

    2014年5月23日

     
     
     

    keitora_0526.jpg トラック輸送の供給力不足が顕著になり、業界では「荷主を選べる時代」になってきたという声も聞かれる。しかし一方で、荷主が出してくる無茶な条件を飲まざるを得ない事業者の存在もある。神奈川県では今年2月、荷主とのトラブルで従業員が過労死するという事態が発生した。荷主の理不尽な要求や無理難題に追い詰められた上での不幸な結末に、会社側は「弱腰の姿勢で対応せざるを得ない自社の姿勢と、横暴な荷主の姿勢が許せない」と憤りを隠せない。荷主とのパートナーシップ構築を目指す業界だが、現場ではまだまだ従属的な関係が残っており、荷主の無理難題に苦しむ中小事業者の姿がある。



     「外食産業がこんなに酷いものだとは思わなかった」と話すのは、神奈川県で食品輸送を手掛ける運送事業者。同社が昨年から取引を始めた、大手外食チェーンへ食材を卸す会社と結んだ契約は、外食チェーン各店舗へのルート配送と、在庫の保管・仕分けスペースとして倉庫6坪を貸すというものだった。

     しかし、その契約は徐々に変わっていく。6坪の契約だったはずが、同社の倉庫には荷主の商品が大量に運び込まれた。あっという間に倉庫のワンフロアが在庫で占拠されることになる。同社は契約を超過した分の荷物を引き取ってもらうか、超過分の対価を支払うよう交渉していたが、のらりくらりとかわされていたという。

     そんな折、今年2月に関東地方を記録的な大雪が襲う。特に14日から15日にかけての大雪では、まわりが開けているという立地条件もあり、同社の倉庫周辺は積雪量が胸の高さ近くにまで達し、車庫から出ることもままならなかった。配送できる状況ではないと判断した同社は、「発注されても届けることができない」と荷主に訴えたが、「とにかく出発しろ」と取り合ってもらえない。社員総出で倉庫周辺の雪かきをしたが、倉庫から目の前の道路へトラックを出すのに2時間近くかかるという状態だった。

     車は出したものの各地で交通はマヒしており、30時間以上経っても帰ることのできないドライバーが相次いだ。同社の営業所には「荷物が届かない」というクレームがチェーン各店から寄せられ、社内は大混乱に陥った。営業の社員も駆り出して顧客対応にあたったが、「電話を置くと間髪入れずに次の電話が鳴る」という状態だったという。

     この時、対応をしていた社員の中に配車を担当していたAさんがいた。大雪後の処理のため、連日クレーム対応に追われる日が続き、Aさんは数日間自宅に帰れなかったという。Aさんがいったん家に帰ることができたのは18日の夕方になってからだったが、一度帰宅したとはいえ、翌朝早くに出社しなければならない。次の日、起床したAさんはシャワーを浴びに浴室に向かう。しかし、Aさんが再び出社することはなかった。

     浴室から出てこないことを心配した家族が倒れているAさんを発見したが、すでに心停止の状態だった。その後、救急車で運ばれるもAさんは帰らぬ人となってしまった。数度に渡る大雪で、Aさんを含め顧客対応にあたっていた社員やドライバーの中には、2月19日の段階で残業時間が100時間を超えている者も少なくなかった。

     Aさんの死に対し、「労働時間の長さだけでなく、無理難題を押し付けてくる荷主と文句を言うドライバーの板挟みに合うという、精神的な苦痛も負担となっていたと思う」と説明する同事業者は「荷主に対して弱腰なうえに、利益の出ない仕事を受けてしまう会社の経営体質にも問題がある」と、自社の反省をするとともに、「足元を見て無茶な要求を突きつけてくる荷主に対しても怒りを抑えることができない」と憤りを隠さない。

     厚労省がとりまとめた「平成24年度脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況まとめ」によると、脳・心臓疾患の労災請求件数の多い業種(中分類)として、道路貨物運送業は127件で第1位となっている。2位の総合工事業64件と大きな差があり、同じ運輸業・郵便業に分類される道路旅客運送業34件の3倍以上となっている。

     大雪で荷物が届かなかったことに対し、同社は現在、荷主から600万円の弁済を求められているが、「自分たちの無理難題には触れずに、うちの不備だけを指摘してくることは許せない。弁済には一切応じない」と、裁判も辞さぬ姿勢を見せている。

     
     
     
     
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