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    認証工場が堂々と…「虚偽の記載」3か月点検せずにハンコ

    2014年8月7日

     
     
     

    tenken_0804.jpg 営業トラックに義務付けられた「3か月点検」を実施していないのに、定期点検記録簿には「点検済み」として認証工場の証明印。かつて「自前で3か月点検を済ませる」ケースが話題になったが、最近は、認証工場が堂々と「虚偽の記載」を行うケースが増えているという。背景には、認証工場の「顧客の奪い合い」があり、これがコスト削減を優先するトラック事業者のニーズに応える形で、水面下で静かに進行しているようだ。



     事業用自動車の定期点検の実施率は、バスが90%、タクシーが87%に対し、トラックは53%とかなり低い(国交省調べ)。国は定期点検実施率を高めようと関係団体に呼び掛け、継続的に啓発活動を行っている。

     ただ、この実施率も「書類上の数値で、現実はもっと低いはず」と関東のあるトラック事業者は指摘。「3か月点検は、毎年車検をする代わりに『無料にしてハンコだけ押す』という認証工場があり、この辺りでもかなり多くのトラック事業者が利用している」と証言する。

     具体的には、「ペーパーだけのやりとりと実際に工場に納車する方法の二通りあるが、ペーパーだけでも、過去に遡って調査された時、足がつかないように原則として該当車両は運行しないのが普通」と、その事業者は話す。点検記録簿は全項目チェック済みで認証工場のハンコがあるため、適正化実施機関の巡回指導でも「不正」は見抜けない。以前、定期点検を実施していなかったことで行政処分を受けたことがある事業者の場合、巡回指導員が疑義を持ち「(点検作業の)領収書を見せてくれと要求された」とのこと。

     「虚偽の記載」が発覚すれば認証工場、トラック事業者双方が行政処分を受けるが、「指定工場」(民間車検場など)に対する「指定取り消し」のような「認証取り消し」はないため、こうした行為におよぶ認証工場は各地に数多く存在するという。背景には、認証工場同士の生き残りをかけた仕事の奪い合い、競争の激化がある。

     日本自動車整備振興会連合会(橋本一豊会長)は「車の性能の向上とともに一般も含めて定期点検を受けないケースが増えた。車にお金をかけない人が多くなった結果、認証工場の仕事は減っている。定期点検でお金を使わずユーザー車検などに向かう傾向がある」と強調する。

     車検では、定期点検のように安全を最優先した細かなチェックは行われない。タイヤの摩耗がギリギリでも、ブレーキ具合が少し悪くても「現在の基準」をクリアすればOK。だから「昨日車検が済んだのにエンジンがかからない」などのトラブルも多い。トラックも、定期点検を行う前に「車検」を受けてしまう、いわゆる「前車検」が問題化している。

     定期点検記録簿が「白紙」なら、巡回指導で未実施が判明するが「認証工場で虚偽の記載がされたら我々にはどうすることもできない」と某ト協の適正化事業部長。虚偽の記載はもちろん言語道断だが、一方で、「国の社会的規制強化に伴う環境・安全対策コストの増加が、トラック事業者を追い詰めた結果で、皮肉にも最も古典的で基本的な『点検』という安全対策がおろそかになりつつある」との声もある。

     
     
     
     
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