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個人償却制ドライバー混迷 コンプライアンスでできなくなる?
2014年10月2日
今まで名義貸しまがいの個人償却制も存在していた運送業界だったが、ここ最近では、規制の強化やコンプライアンスの観点から、償却制や名義貸しを拒む運送事業者も増えているようだ。それを裏付けるように、個人事業者で構成される企業組合はここ数年で2倍になるほど組合員が増えている。以前に取材した企業組合の理事長も「巡回指導や特別監査が頻繁に行われており、運送事業者も適正な事業の運営が必要との考えになってきている。個人償却や名義貸しを行っていた運送事業者が償却制度や名義貸しを拒むことで、個人事業者に近いドライバーらが組合に加入してきている」と語った。
現在も大阪府下の運送会社で個人償却制を行うドライバーは「ここ10年、数か所の運送事業者で個人償却を行ってきた。10年前なら社保や厚生年金に加入せず、国保で好き勝手に仕事を行い、売り上げも200万円近くあった。しかし、その会社も償却制度を廃止し、『償却制のドライバーも社員として適正に働いてもらう』とのことから、数年前に退職した。その後、ドライバー仲間の紹介で現在の運送会社に償却制ドライバーとして入社した。しかしここでも最近、労務問題から運輸支局の特別監査が行われている。ドライバーの拘束時間が極端に長く、一部の償却制ドライバーは1か月で休日が1、2日ということから問題となり、会社側も改善するために現在の償却制ドライバーに対して社員になることを勧めている」と、償却制が行いにくい現状を説明する。さらに、運送会社での償却制を辞めない理由について尋ねたところ、同ドライバーは「運送会社での償却制は燃料費も高速代も会社名義のカードなどを利用していることから、資金面では個人でも可能。しかし、個人となれば燃料費も高速代も全て現金での支払いとなり、資金的に厳しいとともに、個人ではなかなか信用してもらえないことも多い」とし、個人償却制を拒まれても、次に償却制度を行わせてもらえる運送事業者へと移動していくしか方法はないと語る。
最近では個人償却制も、社保・厚生年金の掛け金が大きいことから、社員として低額な賃金で保険掛け金を抑え、個人では確定申告で収入を二重払いしてもらえる形にしてしのいでいるという。しかし、次第に行政の横の連絡体制が整うこともあって、長年にわたり個人償却制を行ってきたドライバーにはやりにくい時代となりそうだ。
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