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インターネット上の悪質な書き込み許さない 運送会社が法廷闘争へ
2014年11月13日
すべての始まりは「社長、うちの会社や私たちのヒドイことがどんどん書き込まれているんです」という女性ドライバーの訴えだった。いわゆるインターネット上の書き込みサイト。様子に驚いた社長は直ちに同サイトの管理人に連絡して悪質な投稿記事を削除させたが、それから1年。再びサイト上に同社を陥れるような書き込みが大量に投稿され始めたことで、法的手段を選択した西日本エリアの運送会社。トラック事業に限らず、あらゆるジャンルをターゲットにした無責任なネット投稿が氾濫しているが、「決して許されるものではなく、悪事は必ず処罰されることを示したい」と話す社長に話を聞いた。
1年ほど前に同サイトに書き込まれた内容は、会社というよりは、むしろ同社の従業員が対象だった。なかでも女性ドライバーをターゲットにした卑猥な投稿も多発。社長によれば「彼女らが乗るトラックが特定できるケースもあり、よじ登って休憩中のトラックの車内をのぞき込もうとするヤツもいたようだ」と振り返る。彼女らの訴えを受けた社長は同サイトの管理人に書き込みの削除を求め、サイト側も応諾。その後は収まったかに思えたが、今年の7月中旬ごろから再び目につくようになる。今回はドライバーらを侮辱するだけでなく、あたかも反社会的勢力と密接な関係があるかのような表現を使うことで、同社の名誉や信用を大きく失墜させかねない内容へとエスカレートしていた。
同社には顧問として雇い入れている警察OB、さらに全幅の信頼を寄せている弁護士がおり、彼らの「社長、訴えましょう」という一言で法的手段を即断。まず「一般的に3か月が目安とされているらしい」という、携帯電話会社の発信履歴が消されないための措置を取ることだった。
そこで今年9月25日、東京地裁に「発信者情報消去禁止仮処分命令の申立書」を提出。同地裁は10月10日、申し立ての内容を相当と認め、同社に10万円の担保を立てさせることで携帯電話会社に「発信者情報(氏名または名称、住所、電子メールアドレス)を消去してはならない」とする仮処分を決定。
発信履歴が保存できたことで手続きを焦る必要はなくなったが、同社は第2段階として近く、携帯電話会社を相手に「発信者情報の開示請求」を同地裁に提訴する。訴状には、すでに書き込みサイトの管理人から開示されている?犯人?の「IPアドレス」「タイムスタンプ」「投稿時接続先URL」などの情報から、投稿記事はいずれも特定の携帯電話会社の端末を使用していることが判明しており、回線の契約者である?犯人?の発信者情報の開示を求める――などと記している。
周囲のアドバイスもあって現段階では民事扱いで進めているが、携帯電話会社による?犯人?の情報開示を待って刑事告訴に踏み切る方針。「書き込まれた内容のうち、完全に信用毀損となる表現が数例あるとの判断を弁護士が示しており、そうした状況では携帯電話会社も情報開示に応じざるを得ないと思っている」と社長。
すべてが決着するには「まだ1年ほどかかるかもしれないし、東京まで出向く交通費も含めた訴訟費用もバカにならないが、こうした輩を許すわけにはいかない。徹底的にやる」。同サイトの書き込みを見る限り、同様の災難に見舞われている運送会社も少なくないと思われるが、今回の訴訟によって軽率かつ、無責任な投稿にブレーキがかかることを期待したい。
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