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    表面化する「傭車カット」…規制緩和の見直しが必要

    2009年3月26日

     
     
     

     製造業を中心とした非正規社員や、派遣労働者の契約解除が大きな社会問題となっているが、これは労働力を単なるコストとして見る企業の方向性を後押しする格好で進められてきた規制緩和が生み出した当然の結果であるのは明らかだ。同じ状況はトラック運送業界にも垣間見られる。いわゆる傭車だ。


     運送が免許事業だった当時、新規参入には聴聞会など既存事業者や行政によるハードルも高く、それでも運送事業を始めようとすれば免許の譲渡・譲受に数千万円が動いた。仮に、苦労して新規免許を取る場合でも荷主として、メーカーなどの存在が裏付けとして必要だった。
     しかし現在は、同業者である運送事業者を「荷主」として事業参入する新規の許可事業者が後を絶たない。また、そうした構造を大手事業者が望んできたことも事実で、必要なときに必要なだけの輸送力を確保し、景気の変動に合わせて支配車両を操作できるメリットは大きい。それが現在の大不況のなかで、自車を遊ばせることができない川上の事業者による「傭車カット」となって表面化している。
     つまり、運送業界の多くを占める傭車主体の事業者は派遣もしくは、非正規の輸送力(労働力)であるということ。業界団体を中心に現在、行き過ぎた規制緩和の見直しを求める声が大きくなっているが、非正規な輸送力の立場(下請けの運送会社)が正規の労働者(正社員ドライバー)を抱えざるを得ないという極めていびつな業界構造を真正面から受け止め、改めるべきは改める必要がある…そう求めて強く行動する必要があることだけは間違いない。(長尾和仁記者)

     
     
     
     

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