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物流ニュース
丸市倉庫 堀内社長「持続可能性のある企業目指す」
2016年8月10日
「倉庫業の枠を超えてビジネスができるようになったのは、先代社長の父のおかげ」と語るのは丸市倉庫(山梨県甲府市)の堀内信社長。「無知で未熟な自分の挑戦を許し、失敗しても見守ってくれた。だから、自分の行動に責任が生まれ、諦めないでこれまで頑張ることができた」と振り返る。「今度は私が次の時代にそれを引き継ぐ番。社員のみんなに『未来は自分の手で作り出せる』ということを、仕事を通じて実感させてやりたい」という。
「次の時代のタネを蒔き、花を咲かせる。それが自分の使命」との思いを具現化するため、同社では社員教育に注力。「いつか社員が作った製品やサービスが世間の注目を浴び、『ガイアの夜明け』や『プロフェッショナル』で紹介されるのを本気で期待している」。
もちろん、自らも研修やセミナー、交流会に積極的に参加。国内はもとより海外へも視察に出掛けるなど、学ぶ姿勢を崩さない。すべて、「一流を知らなければ一流の仕事はできない」との思いが根底にあるからだ。「大切にしているのは『理論と実践』。必ず実務に落とし込むことを徹底している」。
大学卒業後、当時、斬新なコンセプトで物流事業を展開していた寺田倉庫に入社。「3年間、丁稚奉公をさせてもらった」という。「会社に惚れ込み、一方的に『御社で働かせてもらうと決めました』と押しかけるように人事部に通い詰め、採用してもらった。入社後すぐにアパレルの重要な仕事を任されるなど、とにかく面白かった。『任されることは楽しい』ということを、この時に学んだ」。
その後、25歳で家業である丸市倉庫に入社。「国内産業の変革期で、荷主が次々と海外へ出て行ってしまい会社は大ピンチ。倉庫の仕事はなく、お金もない。どうすれば良いか教えてくれる人もいなかった」。
半導体や飲料工場の業務請負からペットフードの配送など、「もがいてもがいて、何とか儲かりそうなビジネスを探そうと、いろいろな周辺事業にチャレンジしてみた」が、「見事にみんな失敗した」。壁にぶつかることを繰り返すうちに、「自分は二流、三流だから、一流の人に教えてもらって勉強するしかない」と腹をくくり、著名なコンサルに指導を仰ぎ、ビジネスモデルの再構築に取り組んだ。
「人の縁を大切にし、縁を恩で返す」というのも堀内社長が掲げるポリシー。「コンサルの先生に指導してもらうということは、その方の時間、言い換えれば、命をいただくということ。その恩に報いるためには、アドバイスを経営に生かし、結果を出していかなければいけない」。
山梨県では製造業の撤退が進み、「産業のゴーストタウン化」が進んでいる。「地方の倉庫会社が生き残るのは本当に大変」という同社長だが、「見方を変えると楽しい」とも。
「当社は『小さな田舎の倉庫屋』。人もお金もすべての資源は今でも不足している。ならば、足りないところは仲間に助けてもらえばいい。JTPやローカルネットの輸送会社のメンバーのおかげで、全国配送に対応できるようになった。倉庫が足りない時は、倉青協の仲間に助けてもらっている」と目を細める。
同社では、倉庫業務の効率化を図るため、独自の在庫管理システム「クラロジ」を開発。「後発だが、現場を熟知した倉庫会社の社員が開発したので同業者にも受け入れられやすいはず。これまでに応援してもらった仲間のシステム化を支援できれば」と展望する。
これからの自社のビジネスモデルについて、「サステナビリティをキーワードに、持続可能性のある企業を目指す」と語る堀内社長。「協力してくれる仲間の業績アップをどう実現するかが重要。物流にはまだまだ可能性がある。言われたことをやっているだけでは改善はできない。顧客の経営戦略や流通を知り、物流をデザインし提案していくことが求められている」と先を見据える。
◎関連リンク→ 丸市倉庫株式会社この記事へのコメント
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