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ブログ・橋本 直行
【ザ・前座修業】
2010年4月25日
船井総研では、今年入社した新入社員全員に、読むことを義務付けた
本があります。
稲田和浩・森田梢路著「5人の落語家が語る ザ・前座修業」
(NHK出版 生活人新書)です。
早速、私も買って読んでみましたが、すばらしい本でした。
弟子にあたる人(若手社員)だけではなく、師匠にあたる人(上司)
にも(つまりすべての組織人にとって)、とても有用な本です。
本書には、柳家小三治、三遊亭円丈、林家正蔵、春風亭昇太、
立川志らくという5人の人気落語家への、前座修業についての
インタビューが掲載されています。
当然ながら、それぞれの見解には違ったところがあります。
しかし、本書を通じて、一貫したメッセージがあると感じました。
春風亭昇太師匠は、インタビューの中で、次のように述べています。
> 楽屋で師匠がたにお茶を出したり、着物を畳んだりすることが、
> 噺家として働くことに意味があったのかっていわれると
> よくわからない。
> ただ、この時代が落語の修業ではなく落語家としての修業時代
> なんだということだけははっきりといえます。
> 落語家としてどういうふうに生きるのかを学ぶような。
柳家小三治師匠は、修業時代に、手ではなく足で雑巾を操って掃除を
していたところを、師匠(五代目柳家小さん)の奥さんであるおかみ
さんに見つかって叱られたエピソードを挙げて、修業の意味について
次のように語っています。
> 「きれいになるなら足で拭いてもおなじことだ」ということを
> 認めたら、そういう生き方しかできなくなってしまう。
> つまり、そういう噺しかできないということだ。
> 小さんはよく「人間は正直でないと、いい噺はできない」と
> いっていた。
> 「ずるいやつには、ずるい噺しかできない」と。
> -中略-
> 師匠の家での家事見習いとは、結局人間見習いということ。
> 人としての思いやりや、心としての礼儀、物事万事への心構え
> などを教えてもらうのが前座修業。
> この時代に、人間としての筋を一本通すことを身に付けられるの
> だから、けっこうなひとときといえる。
修業時代というのは、その道のプロとして、社会人として、人間と
して、どう生きるのかを身に付ける時期なのです。
ぜひ読んでみてください。この記事へのコメント
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筆者紹介
橋本 直行
船井総研ロジ株式会社 取締役執行役員 事業部長
1972年生。兵庫県尼崎市出身。関西学院大学法学部卒業。物流企業の業績アップ専門コンサルタント。特に、問い合わせを激増させるホームページの企画や受注率を上げる企画提案書の制作のノウハウは、社内トップクラス。 繁盛物流企業を創るための経営研究会「FUNAIロジスティクスソサエティ」主宰。 -
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