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ブログ・野口 誠一
第64回:倒産防止第14条・感動の心を持つ
2004年7月16日
「再起の条件」の第14条は「感動経営を目指す」である。
日産自動車のカルロス・ゴーン社長が藍綬褒章に輝いた。外国人経営者としてはもちろん初の快挙だが、50歳という若さ、在日わずか5年というキャリアを考えれば、異例ずくめと言っていい。では、彼の何が評価されたのだろうか。沈没寸前の日産を建て直し、V字回復を実現したからか。むろん、それもあろう。が、再建屋ならばほかにもいる。私はひそかに・彼が「感動経営」のお手本を示したからではないか、と考えている。
では、感動経営とは何か。経営者が自分の言葉で経営理念を語り、その理念を実現するために目標を定め、その目標が達成されたとき、自社の社会的地位、評価はどうなっているか、社員・従業員の処遇、生活はどうなっているか、生活はどうなっているか、そこの青写真を明確に示し、全社を巻き込んで成果を勝ち取り、社員一人ひとりが達成感と自己実現を手にしていく……言葉にすればたったこれだけのことである。が、それは難しい。派閥、学閥、人脈ラインを綱渡りしながら昇りつめ、前任者を「大事にする」ことを暗黙の了解としつつ、トップになっていく大企業のサラリーマン社長にはとても無理であろう。
が、ゴーン社長はその感動経営を断行してのけた。自らにもコメットメント(必達目的)を課し、再建できなければ身を退くと明言し、第一弾「日産リバイバルプラン」で業績のV字回復を実現し、続く第2弾「日産180」では高収益体質を構築した。日産は前三月期、過去最高の純利益5000億円を達成し、その成果を今春、組合の要求通りベア、賃上げ、一時金のすべてに対して満額回答をもって応えた。見事な感動経営の結実と言っていい。このゴーン革命は、大企業よりも中小企業のお手本となろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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