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ブログ・野口 誠一
第97回:失敗しないための戒め15か条 最大のガンは自身の甘えと自覚せよ
2004年10月23日
「失敗しないための戒め15か条」の第3条は、「最大のガンは自身の甘えと自覚せよ」である。
甘えとは、「自分がやらなくても誰かがやってくれるだろう」「困ったら誰かが助けてくれるだろう」と、自分の責任と努力を放棄する精神構造のことである。中小企業の経営者が、この甘え病にかかると、その先は倒産しかない。大企業のようにトップ交代もできないし、誰も助けてくれないからである。
日本はムラ社会であり、よく言えば互助の精神、悪く言えば甘えの精神がシステム化されている。それは経営の世界とて例外ではない。護送船団方式、メーンバンク制、株式の持ち合い、系列、終身雇用、年功序列…これらの日本的システムは多分に甘えの構造を含んでいる。が、その甘えもグローバル化や市場経済の進展とともに許されなくなり、構造改革を余儀なくされたのが、先の「失われた10年」の実態であろう。
そしていま、日本の企業もようやくグローバルスタンダードに近づきつつある。この流れに逆らい、相変わらず甘えの構造に安住しようとする企業は、淘汰を免れない。その好例が西武グループであろう。グループの中核会社コクドは、傘下の西武鉄道が有価証券報告書への虚偽記載を公表する前に、保有する鉄道株の売却(株式持ち合い)を72社へ持ちかけた。その後、インサイダー取引の疑いやら西武鉄道の上場廃止やらで株価が急落し、結局、コクドの目論見は白紙に戻り、グループの再建もいまだ五里霧中と言っていい。
このドタバタ劇のなかで、日産だけがコクドの申し出(持ち合い)を蹴った。その理由は、「株式を持ち合ったからといって、西武グループが日産の車を買ってくれると思うのは甘えである」というカルロス・ゴーン社長の経営姿勢にあった。見事な「甘え」の排除であろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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