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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(287)人材育成について(6)事例(3)

    2020年4月20日

     
     
     

     ある病院の看護師長さんに聞いた話がある。思いやりの大切さを感じさせる話であった。「私のとこの病院で、糖尿病から亡くなったおばあさんがいるの。そのおばあさんは、亡くなる前に、1人の女の子に感謝の言葉を残したわ。その女の子は、中学校2年生の時、公園でおばあさんと知り合ったの。きっかけは、女の子がボール遊びで指を怪我した時、おばあさんが持ち合わせのタオルで指を冷やしてくれた縁。怪我が縁で、おばあさんと女の子の公園での付き合いが始まったの。天気のいい日は、いつもおばあさんは本を持って公園のベンチに掛けているのですが、本は持ったままで、読んでいません。女の子が問うと、おばあさんはさみしそうに〝読みたくて持っているんだけど、視力が弱って、もう外の明るいところでも読めないの〟。それで女の子は、高校2年まで、おばあさんが亡くなるまで、おばあさんの家で本を読んであげるようになったのよ」

     

     夕鶴を思い出すような話である。おばあさんの亡くなる前の感謝の言葉は、次の通りである。「あの子は自分で考えて、あんな素晴らしいことをしてくれたの。人間には、なんて優しい思いやりがひそんでいるんでしょう。この3年間は、あの子がいてくれたから、輝いていたの。また人間に生まれてくるわ。あの子に、ありがとうって伝えてね」。このおばあさんの言葉を聞いて、女の子は泣きながら言った。「わたしこそ、おばあさんに感謝されて、自分でも他人の役に立つことがわかり輝いていたのに。それまで、なんにも自信が持てなくて、だめな人間だと思っていたから、他人に喜ばれることができるなんて、信じられなかったのに。あのおばあさんが、それを教えてくれたの」

     この女の子の思いやりの心は、人材育成の基本である。思いやりという水を上手に注ぐことで、人のやる気が育まれていく。人を道具のように扱っては、心はつかめないし、育成できない。働け働けとムチ打っても、長続きしない。欲でつっても、いつかは壁にぶつかる。やはり、人の役に立つ企業としての理念、使命感、価値観を、働く一人ひとりと共有していくことだ。

     この努力を背景として、宮大工の口伝のように「木を見ないで山を買う」精神、夕鶴のつうの愛情、女の子がおばあさんに示した思いやり、これらの心が人材育成の基本である。人材育成には妙薬はない。当たり前のことを、心をしめて、粘り強く続けていく意思が大切である。小手先のテクニックやマニュアルにのみ依存して、心を忘れると、本当の人材は育たない。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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