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    労働審判・全面勝利体験報告(7)「本人が書いたと思えない申立書」

    2010年7月1日

     
     
     

     相手方の申立人に対する加害行為

     東京地裁の平成7年12月4日判決(労判685号17頁、バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件)は、人事権行使の違法性の判断要素につき、「人事権の行使は、労働者の人格権を侵害する等の違法・不当な目的・態様をもってなされてはならないことは言うまでもなく、経営者に委ねられた右裁量判断を逸脱するものであるかどうかについては、使用者側における業務上・組織上の必要性の有無・程度、労働者がその職務・地位にふさわしい能力・適性を有するかどうか、労働者の受ける不利益の性質・程度等の諸点が考慮されるべきである」としている。



     これを前提に、前回記載の相手方が申立人に対して行った配置転換の辞令を評価すると、申立人の名誉や職場において公正な処遇を享受する権利など人格権を侵害するとともに、退職勧奨という不当な動機ないし目的に基づいており違法である。

     仮にそのような目的がなかったとしても、業務上の必要性もなく、申立人の能力・適性を無視したものであるから、裁量権の範囲を超える違法な人事権の行使といえる。

     損害の発生と因果関係

     申立人は社長の辞令が原因で退職に追い込まれ、モノのように使い捨てられることで筆舌に尽くしがたい屈辱感を味わった。この精神的損害を金銭に換算すると、金150万円とすることが相当である。

     よって、民法第709条ないし710条および719条に基づき、相手方らは申立人に対して、連帯して金150万円を支払わなければならない。

     申立書は、ひとつのパターンによって成り立っている。申立人の主張することの裏付けとして判例を持ち出す。今回は労判685号17頁、バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件である。

     よくよく考えてみると、申立書は代理人弁護士ではなく本人が申し立てている。筆者としては申立人の性格、能力はある程度つかんでいる。それにしても判例を持ち出すほどの法律知識を有していたとは、到底思えない。

     そもそも申立書は申立人本人が書いたとも思えない。弁護士が作成したとすると代理人として登場してくる。それ以外のいわゆるプロがいる。

     どのようなプロであろうか。労務トラブルの多発を生み出す環境としてプロがいることにある。弁護士費用をかけずして比較的訴えやすい状況がある。法的手段に訴える上での垣根が低くなっている。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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