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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(6)荷主に知られたら…

    2011年7月22日

     
     
     

     A社長は、労働組合ができたのは自分にも責任があると反省する。とはいっても5日後に迫る団体交渉をどうするか。いくら要求書や団体交渉申入書を読み返しても、できない相談ばかりである。「こうなったら私は引退して、労働組合に経営をやってもらおうか」と思い込むほどである。



     「あるいは、どこかに隠れてしまおうか。病院にでも入院しようか」。A社長の心は千々に乱れる。A社長は経営を手伝っている妻に相談する。妻いわく「お父さんはすぐカッとなるから、労働組合と話し合っても喧嘩になるだけですよ。代わりに誰か労働組合と団体交渉してくれる人はいないのでしょうか」。

     A社長いわく「私の代わりに団体交渉に出てくれる人なんて、すぐには思い浮かばないよ。それより運送業を続けていけるのだろうか」。妻は「本音を言えばすぐに辞めたいよ。でも銀行の借金をどうするの。借金があるから辞めるに辞められない」と語る。

     A社長は労働組合を結成した自社のドライバーと連絡を取ろうとした。「なぜ労働組合を作ったのか。今までの私の恩を忘れたか」と言いたくなってきたのだ。そこで携帯電話にかけてみる。分会長の○○氏は「色んなことは労働組合に全て任せました。社長も言いたいことがあれば労働組合を通して下さい」と、取り付く島もない。

     一人でも入れる労働組合ができたということをメーンの荷主が知ったらどうなるか。A社長はゾッとしてきた。A社長の知り合いの運送会社に労働組合ができたことを思い出した。

     仮にB社とする。B社がなぜ揉めたのかは知らないが、B社の入り口に赤旗が立つ。「○○労働組合」と染め抜かれた旗である。そればかりではない。B社の事務所の壁にベタベタと張り紙がしてある。そのうち数十人の労働組合員がB社に押しかけ、B社の周りを街宣車が走り、大音量でがなり立てる。ついにはB社のメーン荷主のところまで押しかける。さらに地方労働委員会での法廷闘争も始まる。

     あれやこれやでB社はどうなったか。社長は行方不明となりB社は倒産する。メーン荷主の怒りを買って徐々に仕事を減らされ、万事休すとなった。メーン荷主は口では表面立っては言わないが、「一人でも入れる労働組合ができたような会社とは付き合えない」というのが本音である。

     A社長は行方不明になったB社長のことを思い出してゾッとする。「どうしたらいいであろうか」。A社長の苦悩は深まっていく。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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