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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(7)法的整備をする余裕がない

    2011年7月29日

     
     
     

     A社長の直面している現実は中小運送業の現実でもある。どこの中小運送業でも起こりうる事態である。中小運送業の現実とは何か。以下述べる。



     ?生業・家業レベルが多い

     同族会社が一般的である。いわゆる「トッチャン・カアチャン」レベルである。組織力で仕事をしていない。トップの力が大きくワンマンタイプである。補佐役は妻や娘、息子である。日々働くのに必死で、「なぜ働くのか」と問われると「生きるため」と答える。

     従って法的整備をするほどの余裕がないのが現実だ。余裕とは時間と金のことである。法的整備の一つは就業規則、給与規定である。形式的な就業規則、給与規定はあっても実態とそぐわない。労働基準法からチェックすると実態とのギャップがある。「法律で飯が食えるほどの状況ではないよ」とこぼす経営者が少なくない。

     さらに、記録がないことも法的整備に立ち遅れている。記録とは、例えば雇用契約書である。そもそも採用にあたっての記録がない。履歴書はどこにあるか。運転記録証明書はどこか。採用面接にあたっての記録(面接シートなど)はどこか。さらに、いつ退職したか、退職届はあるか。これもまたないという中小運送業も珍しくない。

     経営者が面接する。「いつから来れるか」「いつからでもいいです」「では明日から来て下さい」、これで採用OKとなる。労働条件は口頭で伝えるのみというケースだが、口頭なので後日問題となるケースも多い。労働条件を言った言わないのことでもめる。

     「明日から来て下さい」と言われたドライバー。1日目は見習いなので1日5000円と口頭で社長から伝えられている。3日間働いた後、仕事がきついので辞めるとドライバーが言う。3日分として1万5000円を受け取ろうとするが、経営者は払わない。「見習い中に辞めたのだから支払わない」。ドライバーは労働基準監督署に駆け込む。この場合は記録がないので、法律では最低賃金法に引っかかる。時間外手当の未払もある。

     1日5000円ということであれば現場見学日当とする。ドライバーが「これなら働ける」と決意すれば、そこで社員として採用し、雇用契約書を締結する。こうした手順を記録しておけば、それほど大きな問題とはならない。退職届も、会社都合か一身上の都合か明確にするためにある。退職届がないばかりに、ドライバーが「解雇された」と主張し、解雇予告手当を請求する。法的整備が著しく立ち遅れている現実がある。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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