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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(33)「人事評価」は譲れない

    2012年2月17日

     
     
     

     次回の団体交渉日に向けてA社長は腹を据えることとする。



     完全に決裂したとはいえ、繰り返し会社の考えを述べるしかない。そうすると労働争議ということになるのか。「我々のような中小企業を相手にして揉めることを繰り返すのが、果たして労働組合は良いと思っているのであろうか」「再雇用の条件で『評価をする』ということが、それほど問題になることがあろうか」「年齢と勤続だけで賃金を上げることがいいことなのか」。

     A社長の1日は朝6時からスタートする。日中は日報のチェック、書類の整理から始まって、様々なことをする。時には車を洗う。車両の点検もする。急にドライバーが休むと自らハンドルを握っていく。給料計算もする。1人で何役もこなしている。1日が終わっても携帯電話の電源はオフにはできない。早朝、深夜に携帯が鳴ると「何かあったか。事故か」と、ドキッとする。

     それこそ1日24時間、いつも仕事のことを考えている。それほど贅沢しているわけでもない。社長報酬もここのところアップしていない。経営成績が思わしくないからだ。「それでも労働組合は私のことを資本家というのであろうか」。

     資本家とは金持ちのことである。A社長は金持ちどころか借金持ちである。資本家とは労働者を虐げて搾り取っている人のことか。A社長はこれっぽっちも労働者から搾り取っているとは思っていない。「私の方こそ荷主に虐げられている。運賃の値下げを荷主から通告されても『はい』と言うしかない」「働けど働けど、我が暮らし楽にならざり」である。

     次回の団体交渉は思い切って臨むこととする。一歩も引くことはできない。揉める度に解決金として金を払っていてはキリがない。前回の団体交渉のとき、上部団体のメンバーに「社長、謝って下さい。分会員に対して辛く不当にあたっています」と言われ、ハラワタが煮えくりかえった。「何を謝れというのか」。上部団体のメンバーは「分会員に過酷な労働を強いていることを謝れ」と言っている。「私の方が過酷で辛い。私のような中小企業の親父をいじめて何になる」。

     A社長は、なんとしても再雇用のルールとして人事評価をすること、この一線は譲れない。腹を据えることとする。 

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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