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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(158)無事故運動〈事例A〉

    2017年6月23日

     
     
     

    〈改善への第一歩〉


     「困ったことになりました。メーンの荷主さんが、わが社の運送収入の80%を占めていますが、この荷主さんから『取引を中止するぞ』と言われています。理由は、うちの運転者です。これまで何回も、『服装がだらしない』とか、『言葉遣いがなっていない』と注意されていました。今回は、大きな交通事故を起こしたのです。荷主さんは、カンカンです。どうしたらいいでしょうか」(A社長)

     A社は創業30年で、メーン荷主と一緒に歩んできた。「取引中止」の宣告を受けている。A社長は、青くなっている。「このままだと、本当にダメになります。荷主さんは『物流品質向上のために、これからどうするか。無事故にどう取り組むか。1週間以内に改善レポートを作成して提出せよ』と言ってます。なんとか改善レポートを提出しないと、ダメになります。ご協力下さい」。A社の社長が筆者に依頼した内容である。

     「社長のところは、いままでどんな安全対策の取り組みをしてこられましたか?」

     「とくに安全対策というほどのことはしていません。運転者の顔を見て、『事故を起こすなよ』とか『気を付けて走れよ』と、たまに言うぐらいのものです。いままでは、これでやっていけたのです。荷主さんも大目に見てくれていました」

     A社は、車両数20台ばかり。社長自ら、メーン荷主の出荷センターに早朝7時から出向いて、フォークリフトに乗って、出荷の段取り作業を行っている。この作業は、無料サービスである。そのうえ運賃は、この3年間に20%もダウンしている。こうした状況の中で、メーン荷主に「このままの乗務員レベルだと、取引を中止する。改善レポートを提出せよ」と迫られている。

     「社長のところは、いままで安全をテーマに職場ミーティングをしてきましたか?」

     「職場ミーティングはしたことありません」

     改善の第一歩として、職場ミーティングを開くこととした。日曜日の午前中に、社長の自宅に集まることになった。企業として生きるか死ぬかに直面しているということで、乗務員を説得して日曜日に集まることとした。職場小集団活動のキックオフである。

     改善レポートのポイントは、『無事故をテーマに職場小集団活動を開始する。小集団活動発表会を6か月後に行う。その席にメーン荷主の物流担当者を招く。そこで取引の継続か否か、断を下してもらう』にある。

          (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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