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ブログ・高橋 聡
第288回:令和時代の運送業経営 残業時間削減編(85)
2025年5月8日
【残業時間対策編】85
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号から「残業時間対策編」として時間外上限規制(2024年問題)への対応について解説してまいります。(その2)
1.労働時間把握の必要性
残業時間数を削減していく場合、まずは労働時間を正確に把握できているかが問題になります。事業者が労働時間を把握できていないと、「労働災害」「事故」「未払残業請求」などにおいて調査・監査対象となった場合に、調査機関や労働者側の主張を受け入れる必要があります。高額の賠償、補償を求められる可能性があるため優先度を上げて取り組む必要があります。
労働基準監督署の調査において「運送業」が重点調査対象となっているため留意が必要です。例えば、トラックからの転落事故が多く発生していますが、労災発生の要因として現場の安全管理体制・マニュアルが整備されていたか、とともに労働時間数を調査されることが多い状況です。
特に、万一、社員が脳血管疾患、心臓疾患で死亡・後遺症障害を負った場合については、労働時間数・残業時間数との因果関係で過労死・労災認定がされているため、会社側で労働実態を主張する場合は時間データの提示が必要になります。
2.労働時間把握の方法
労働時間の把握のためにはデジタコおよび周辺機器が必要です。デジタコ、AC機器、勤怠管理システムを連携し把握していきます。タコグラフの設置義務のない2㌧車などにおいてもデジタコを設置する会社が増えています。デジタコにより「分単位」での「休憩時間把握」が可能になります。また、ドライバーがボタンを押すことで「自認」する仕組みとなることがポイントです。なお、さまざまな機器・システムがありますが、設計のポイントは「シンプル」「安価」であることです。
アナログタコグラフでは分単位での「休憩時間把握」が不可能であり正確な把握はできないでしょう。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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