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    物流不動産・特別座談会「さらなる成長を見込んで」(4)

    2008年10月30日

     
     
     

     物流不動産・特別座談会の第4回目をお届けする。
    【出席者】
    司会進行:物流エコノミスト/鈴木邦成氏
    オリックス不動産 物流投資事業部長/伊土弘一郎氏
    コマーシャル・アールイー インベストメント事業本部長(兼)ロジスティクス・リテール第一事業部長/井口隆之氏
    野村不動産インベストメント・マネジメント 物流施設事業部長/山田譲二氏


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    コマーシャル・アールイーの井口隆之氏
    鈴木「それでは、これからの物流不動産業界の動きと貴社の戦略などをお話しください」
    伊土「将来的には必ず拡大していくと思いますが、ここ1─2年はさらに苦しくなる、慎重にやっていこうと思います。というのは、物流に限らず、オフィスなどでも踊り場の状況だからです。例えば、今のタイミングで新しい施設を作って投資をしていくとなると、鋼材価格の上昇といった特殊要因も含めて、いろいろな費用がかかりますから、様子見の時期だと思います。逆に淘汰が進み、良いものだけが残っていく状況になるのではないでしょうか。ですから、うちはテナントさんとしっかりタイアップしていきたい。でないと、空室が出てしまうので。でも、いろいろな状況を見ても建て替えが必要な物件とか、効率化や環境の問題があるので、将来的には絶対に拡大していきますね」
    井口「わたしの感覚では、建築費はトータルで5割くらいは上がっていると感じています。それが投資を鈍らせる結果につながっていると思います。他の倉庫業者さんや物流事業者さんからも設備投資に慎重になっているという話も聞きます。そういう意味でも、今のタイミングでは、物流不動産の面積の増加は鈍ると思います」
    鈴木「メーカーなどの荷主サイドはコストを切り詰めているので、物流施設に関するコストを上げられちゃうとたまらないという感じがありますね」
    井口「原油価格なども上がって、ガソリンが大変なことになって、賃料を上げづらい状況になっています。物流事業者さんと我々、それ以外の方も含めて、みんなで乗り切っていかなければいけないと思います」
    鈴木「長期的な視点での物流不動産市場はどうですか」
    井口「物流不動産業界が伸びてきたのは、物流不動産企業が出てきたからではなく、業界として望まれているから出てきた、『時代の流れ』だと思います。そういう意味では、新規の物流施設供給も、今後も続くのではないかと思いますし、業態自体が変化していますので、3PL企業が次々に顧客を獲得するとなると、その顧客向けの倉庫も作っていくことになります」
    鈴木「営業倉庫の市場は約2.2兆円ですが、自社物件の倉庫の市場の可能性は7兆─8兆円とも言われており、長期的には、さらなるマーケットの拡大も期待できるといわれています」
    山田「不動産業界は昨年くらいまで、様々なファンドマネーにより価格が高騰しました。物流に関しても、作ったら埋まるんじゃないかということで投資されている方もいたかもしれませんが、立地と賃料設定とのバランスの崩れた物件が厳しくなってきている現状を私も感じています。今後は立地、物件による二極化も進むのではないでしょうか。ただし、物流不動産市場は主に10社くらいの限られたプレイヤーの中で活動しているのが現状であり、各社の戦略もしっかりしているので、その中でやっていく分には、マーケット的にはまだまだ拡大していけるかなと感じています。
    物流不動産はオペレーショナル不動産なので、テナント誘致や施設作り、運営上のハードルが高いというのが特徴だと思います。各社のノウハウが、新規参入者にとって追いつけないレベルになっていくことで、結果的にマーケットの健全性が図っていける状況もあると思います。現に、大手の総合デベロッパーと言われる中でも、当社以外は物流を積極的にやっていません。そういう環境下で少しずつでもこの分野で先行していくことが、非常に重要な戦略だと思います」
    (第5回につづく)

     
     
     
     
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