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物流ニュース
赤帽首都圏・埼玉県支部 GPS携帯で配車効率化
2008年10月30日
赤帽が新たな取り組みをスタートさせている。
GPS機能付きの携帯電話を活用した配車システムで、今年6月から赤帽首都圏軽自動車運送協同組合(小林則夫理事長、東京都千代田区)で本格的に稼働させており、将来的には全国展開を図っていく考え。同サービスを先行して導入推進する同組合埼玉県支部の小山幸夫支部長に話を聞いた。
赤帽が導入する配車システムは、組合員がGPS機能付きの携帯電話を持ち、登録することで、組合員の位置情報がリアルタイムに把握できるというもの。営業の窓口となっている支部のパソコン上で、組合員の状況がひと目でわかるため、荷主の仕事依頼に瞬時にドライバーを探せるのが特徴だ。
位置情報がリアルタイムで把握できる
小山支部長によると、埼玉県支部には現在、約1400人の組合員がおり、そのうち約1000人は自分で荷主を持ち営業しているが、残りの400人は赤帽から仕事をもらっているという。これまで同支部は、支部に来た組合員に順番に仕事を依頼していたため、組合員は仕事をもらうために、まず支部に顔を出さなければならなかった。
「例えば、埼玉から千葉へ配送し、千葉で空車になっても、赤帽から新たに仕事をもらおうとすれば、空車のまま埼玉に戻り、また窓口で順番待ちをしなければならなかった」という。そのためスピードに対応できず、「1割の仕事は断らざるを得なかった」と、同支部長は振り返る。
新システムの導入で劇的に変わった。支部に荷主から仕事の依頼が入ると、受注した担当者が依頼場所を入力。すると、パソコンがあらかじめ登録していた組合員の情報を認識、依頼場所から近い順に組合員を表示する。担当者はそれに従ってドライバーに連絡、仕事を依頼する。
荷主に5分以内に連絡できることから、荷主へのサービスも格段に向上したという。以前は、車両を探すのに1時間以上かかることも少なくなく、荷主ニーズに対応できていなかったのに比べ、それまで断っていた仕事を受注できるようになった。
同支部による9月の1か月間のGPSを利用した配車は4000件に上った。「1件も断ることがなかった。旧システムより、少なくとも1割(400件)の受注が増えている」と、同支部長は指摘する。
携帯で登録するだけでいいので、仕事をもらうためにわざわざ、支部に来る必要がなくなった。自宅で待機することで、燃料コストなどの無駄も省ける。また、帰り荷を以前よりも確保でき、空車率が大幅に改善された。
首都圏組合の他県の支部も同システムを活用しているので、空車情報を容易に入手、仕事を斡旋できる。組合員として帰り荷の確保もしやすくなり、輸送効率が上がる。
さらに、赤帽としても営業所コストなどを抑制できる。小山支部長によると、埼玉県支部は将来的に支部をコールセンター化し、営業所を廃止していくことも視野に入れているという。「コストが下がれば、競争力が上がる。組合員にも還元できる」と話す。
小山支部長
現在は赤帽首都圏でのサービスにとどまるが、今後は全国に広げていく考えで、1万5000を超える組合員のネットワークが完成する日も遠くないかもしれない。(高田直樹) -
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