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物流ニュース
冬期のトレーラ 基本的な日常点検を確実に
2022年1月14日
トレーラの事故では、火災と車輪脱落事故が多い。国交省によると令和2年度は131件の車輪脱落事故が発生している。冬用タイヤへ替える冬場11月~翌3月に、北海道・東北、北陸信越、関東と、主に東日本地区で多く発生する傾向にある。今回は冬期に関する点検のポイントや意義について取材した。
トラック・バンの荷台架装やバス車体、トレーラや各種特装車の製造会社で構成する日本自動車車体工業会の木村昌夫氏(東邦車輛・開発部担当部長)と事務局次長の板倉範顕氏によると、「冬から夏の春先にもタイヤ交換をするはずだが、車輪脱落事故が増えるのは冬用に交換するとき」だという。
事故が多い理由について木村氏は、「北海道でこぶ状の氷が見られる『そろばん道路』など、冬場の路面状況の影響もあるのではないか」と指摘する。その上で、「運行前に増し締めといった基本的な日常点検を確実に行う必要がある」と話す。
国交省では、増し締めは、打音点検をはじめインジゲーターやマジックで「合いマーク」の施工を行うといった方法も推奨。同氏は、自社に合う方法を採用するのも手だという。締め付ける強さはメーカーホームページで公開されているので、「メーカーごとにしっかり行うこと」と強調する。
一方、関東以南である中部から近畿などで報告が多くある事故は、バルブ(リレーエマージェンシバルブ)に溜まった水分や脂肪・ゴミなどによって作動不良・火災を起こすものだという。
冬場は水分がたまりやすく、その水分や、内部に詰まったほこりなどのゴミが事故を引き起こす原因となる。「車検などでも部品をばらして清掃は行うが、冬場は定期点検の際に、バルブ内の清掃に目を配ってほしい」と、事故を回避するポイントをあげる。
トレーラを保有する八信陸運(東京都足立区)の市川鉱治社長は、日常点検と3か月点検の徹底を力説する。同社は自社工場を持ち、日々の整備に余念がない。
故障などは突発的に起こるため、延着などで顧客からクレームとなりやすい。中には日常点検・定期点検を行っていると証明する書類を提出する場合があるという。「事故防止ももちろん大切だが、危機回避という点で、顧客への説明のためにも点検を行っているという証明が必要になってくる」と指摘する。
さらに、「トラック自体にあまり関心のないドライバーも年々増えているので、整備や点検をドライバー任せにするのではなく、会社で整備情報をしっかりと管理する必要がある」という。
近年、運送効率を考えたトレーラ輸送への関心は、ドライバーの労働環境改善への期待も含め、高まりつつある。しかし、大型車両が事故を起こせば大惨事となる可能性も高い。事故や大幅な遅延につながる故障を防ぐためにも、日常点検のポイントを把握し、自社で徹底して実施し、日々の安全運行につなげていくべきと言える。
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