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物流ニュース
冬場に増加するトラックタイヤ脱落事故 「日常点検の徹底を」
2025年2月7日
毎年、11月から3月にかけて大型トラック左後輪タイヤの脱落事故が集中する。令和5年度は全体で142件発生しており、うち1件は死亡事故となっている。そのうち大型バスによるものは1件で、ほとんどがトラックによるものだ。国交省では自動車関係団体を通じて注意喚起を行ったり、トラック協会などで研修会を開催し、点検や整備を学ぶ機会を設けたりしているが、事故は減るどころか、増加の一途をたどっている。なぜ、脱落事故は冬に集中し増えるのか。
国交省では、令和4年から「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る調査・分析検討会」を開き、発生した大型車の車輪脱落事故に対し、本省や地方運輸局の職員が立ち会い調査をしている。そのうえで同検討会では、発生状況の傾向分析を行いホームページ上で公開している。
タイヤ脱落事故は平成23年を境に増加している。その2年前の平成21年から新車のナットホイールが、JIS方式から新ISO方式へ切り替わり、点検やメンテナンス方法が変わった。業界内ではこの切り替わりが影響しているのではないかという指摘もある。
ただ、この切り替わりには、平成21年以前、JIS方式でタイヤ脱落事故が多発していたことを受け、より整備がしやすい国際方式であるISO方式が順次採用されたという経緯があることから、事故増加の直接的な原因とするのは難しい。
国交省によると、「ISOを採用する海外で左後輪のナットが緩みやすいという統計的なデータは当時見当たらなかった」という。
自動車メーカーなど14社が加盟する日本自動車工業会(JAMA 、自工会、片山正則会長)では、JISからISOへの切り替えについて、「グローバルな観点や点検整備方式の統一と容易化などを、大型車メーカー4社がそれぞれで判断している」と説明する。
しかし、切り替わり後の平成23年から事故が増加しているのも事実だ。
事故を防ぐ最善策 日常点検の徹底図る
埼玉県の運送事業者は、10年以上前に輸入中古トラックを購入し、車輪脱落事故を経験した。輸入車であったため、当時は珍しかったISO方式のトラックで脱輪が起きた。車両整備後だったものの、「少し走ったらナットのゆるみを確認してくれ」と整備担当者から念を押されていたため、それを怠った同社の確認不足と判断されたという。幸いにも人身事故にはならなかったが、この経験から同社ではナットやボルトの点検は徹底しているという。
令和3年4月からホイール・ナットとホイール・ボルトの脱落・緩み・折損などが日常点検の義務項目となったため、毎日、ドライバーが点検をしている。
同社では、それ以後、タイヤの脱輪事故は発生していない。それだけに同社社長は、「新ISOへの切り替わりというよりも、われわれ運送事業者側の点検不足が原因としてあるのかもしれない」とし、「ドライバーにトラックや車が好きな人が減り、関心を示さなくなり、車のことが分からない人が多くなったことも影響しているのではないだろうか」と指摘している。
同社社長は、 「人手不足もありトラックが好きな人ばかりが入社するわけではない環境なので、トラックの異変にドライバーが気づくには、安全教育や研修を通して粘り強く伝えていくしかない」と話している。
一方、別の事業者では、販売会社でタイヤを交換してから数か月後にタイヤ脱落事故が発生したという。修理に出したが、原因は不明だった。「釈然としないものの、日常点検を怠っていたと指摘されればその通りだったので、それ以降は社内の指導を徹底した」という。
同社社長は、「原因が分からなかった以上、メンテナンス方法が変わったことが影響しているとの疑いは残る」というものの、それ以上に、「社内で先輩が後輩に車両の点検などを教える時間が取れないという問題があるのも事実」と話す。
ダンロップタイヤを製造する住友ゴム工業(山本悟社長、兵庫県神戸市)では、タイヤ脱落事故に対し、タイヤ交換の際、事業者の1日の走行距離を聞き取り、1000kmを超える頃に、再度点検に来てもらうよう呼びかけている。また、同社では現在、タイヤ空気圧やホイール・ナットの緩みをはじめとするタイヤの状態を検知するシステム、「センシングコア」を開発、実用化に向けて取り組んでいる。
国交省の検討会が令和4年度と6年度に行った実験では、交差点右左折走行などで左輪により大きな力が掛かるとの結果が出たという。同省ではセンサーでナットの緩みを感知し、警告を表示する先進安全自動車(ASV)導入補助について、令和7年度の補助対象装置として予算請求、閣議決定されている。今後はメーカーから対象機器の公募を行うという。
新ISO方式への切り替わりを事故増加の原因と指摘する声は業界内でもあるが、そうした事故を未然に防ぐためにも、日常点検の徹底は最善策といえよう。
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物流メルマガ
タイヤの脱輪・脱落は出発前の点検で未然に防げます。
以下、2点を励行すればほとんどの脱輪・脱落は防げるのではないか?
①出発前の車両点検をそもそもしていない。走行中に緩むことはほぼない(あるとすれば適切にタイヤ装着できていない)
②タイヤ脱着時は適正なトルクで締め付ける。インパクトドライバーのみで締めすぎない
ガスライティングやりすぎで、馬鹿を量産しすぎたために、
実用に耐えうる頭脳が業界にない。
残念ながらそう言わざるを得ない。
↓つまりこういうことです。
あなたはガスライティングする側でしょ。
ちょっと静かにしていてください。
具体的に。
あなたには説明の責任があります。
意識向上と発生率低下を目的とするなら、さらなる厳罰化が効果的でしょう。
脱輪起こしたドライバー、車両管理責任者は最低でも指詰めですなガハハハ
タイヤ交換後1週間はとくに気をつけないといけない
逆ネジやめてから緩みが増えたって話はよく聞くけど
以前は締まりすぎて破断したって話も少なからずあった
締まりすぎより緩みのほうが発見しやすいんだし現状のほうがマシなのでは?
>冬場に増加するトラックタイヤ脱落事故 「日常点検の徹底を」
>なぜ、脱落事故は冬に集中し増えるのか
なぜなんです?記事中に説明がない…
パーツが縮むから?でも均等に縮むなら問題ないのでは?
雪の降る地域にも多くて「タイヤ交換が増えるから」ってのが国交省の説明のはずなんだけど、なぜか書いてないのがな。
・タイヤ交換後はボルトを規定トルクで締めていても緩むことがある
・減速時はタイヤの回転方向とは逆の方向にボルトに力がかかる(左側タイヤは緩む方向、右側タイヤは締まる方向)
・左折時は左後方のタイヤは極端に減速する(左後輪は右前輪の1/3くらいしか移動しない)
これらが合わさってタイヤ交換後は左後輪が脱落するから特に点検しろと言われてる
ちなみに冬に多いのは大型トラックは冬タイヤを履き潰すのが主流で
年1回しかタイヤ交換しないからと思われる
補足で海外で問題が少ないのは右側通行だと左折時に左後輪にあまり負荷がかからなくて
右折時は右後輪に負荷はかかるけどボルトが締まる方向に力がかかるから緩みにくいのではと言われてる
イギリスもアイルランドもオーストラリアもタイもインドネシアも日本と同じ左側通行なので、海外で問題が起きてないとしたら日本だけの事情が原因か。
右左折、発進停止する回数が桁外れに違う。