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    知らぬ間に立場逆転 下請法の風上業者に

    2011年12月15日

     
     
     

     いわゆる「真荷主」と「元請け運送会社」の間の公正取引の確保に向けては、独禁法上の規制である物流特殊指定が適用される一方、元請け運送会社と「下請け運送会社」の取引段階(傭車)では双方の資本金額によって下請法の規制を受ける場合があることは周知の通りだが、一部に「完全な下請けと思っていた自分の会社が、知らない間に下請法で規制を受ける側にひっくり返っていた」と慌てるトラック経営者がいる。何社かの関係者に話を聞くと、いずれも「取引している主要荷主から増資を求められ、応じた結果だった」というが、なかには「法で守られない立場に変わったばかりか、下請法の規制を受ける側に回ったことは納得できない」と長年の信頼関係を疑問視する声も聞かれる。


     岡山県の運送会社は取引先の中堅機械メーカーから求められる格好で、資本金を1000万円から1100万円へと増額した。社長によれば、「株式の大半は親父(先代)の名義になっており、以前から増資分は自分が持とうという考えもあったから、すんなり要請を受け入れることにした」という。
     しかし、それから間もなく「増資が意味する事実を知った」(社長)ことで税理士やメーン銀行の関係者と相談し、再び資本金を以前の1000万円に戻した。わずか数か月の間のドタバタ劇となったが、「官報公告も含めて無駄な費用もかかったうえ、何より関係先に対して減資に対するマイナスのイメージを打ち消すのに苦労した」と振り返る。
     一方、広島県の運送会社も「主要荷主の求めがあったことで資本金を積み増しした」という。増資分はわずか10万円だが、それによって法律上における運送会社の立場は大きく変化する。ただ、同社の場合は荷主から「振出手形の支払いサイト面のトラブルを避けるため」と増資要請の理由を明快に説明されたうえ、極めて重要な取引先であることも踏まえて、自社が下請法によって縛りを受ける側へ回ることにも「別に構わない」としている。
     物流特殊指定の規制対象となるのは、真荷主と運送会社の継続取引であることに加え、双方の資本金も関係してくる。実運送事業者の大半を占める1000万円以下(個人事業者含む)の場合、資本金が「1000万円以上、3億円以下」の真荷主なら取引上の規制を受けるが、運送会社側の資本金が1000万円を1円でも上回れば対象外となる。「この事実を知る真荷主が運送会社に増資を要請している」と話す兵庫県の運送会社でも、「取引する建築資材メーカーから増資要請を受けたが、断った」という。
     例えば、運送会社が資本金を「1000万1円」に引き上げた場合、荷主は資本金の面で物流特殊指定の縛りから解かれるが、それは元請けとなる運送会社が独禁法上の規制の保護から放り出されることでもある。しかも、資本金が1000万円を超えた運送会社が傭車を使う場合は下請法の規制対象になるのも事実で、「要は踏んだり蹴ったりということ。要求は跳ねつけた」と兵庫県の社長。
     公正取引委員会では「確かに運送会社が増資することで資本金区分の面では(真荷主は)物流特殊指定の規制対象から外れるが、双方に優劣関係が存在するかを判断することも要件。この場合はケースバイケースで、個別の事案を見ないとわからない」(経済取引局・企業取引課)と説明。
     商行為の取引関係にある荷主と運送会社、また運送会社と傭車先が法律を根拠に争うケースは少ないことで、物流特殊指定や下請法の形骸化を指摘する声も根強い。ただ、下請法などにも詳しい弁護士によれば「最近は運送会社の倒産が増えており、債務整理の作業段階で運送契約や運賃に不適正な部分が見つかるが、そうした場合は荷主や元請けの運送会社に事情を問い合わせるほか、公取委に調査を依頼することもある。運送会社にも公取委から調査票が送られてくることがあると思うが、現状を打ち明けることが大切」と話している。

     
     
     
     
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