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    長距離ドライバーの労務管理 苦肉の策に

    2012年5月7日

     
     
     

     これといった打開策が見当たらないなかで、長距離運行を担うドライバーの労務管理に頭を痛めるトラック事業者が急増している。翌々日の到着指定ならまだしも、実運送の現場からは「翌日着の運行便で総拘束時間や休息期間、連続ハンドル時間など関連法を守って業務をこなすことは不可能」との悲鳴が聞こえる。
     一方、地方労働局の担当官も「労働基準法の原点は工場法であり、輸送完了で業務が一区切りとなるトラック事業を枠内に収めるのは難しい」と打ち明けるのが実情だ。そうした矛盾の解消作業は手つかずのまま、事業者責任だけが厳しく問われている。そうした現状から、ドライバーを委託業者に仕立てたり、全員を取締役に就かせるなど苦肉の策に打って出る光景も目立ち始めた。
     兵庫県の運送会社は数年前から、長距離の仕事に従事するドライバーと下請け契約を交わすようになった。「基本給プラス歩合という従来の賃金スタイルを好む者や、『なぜ急に…』といぶかる声もあったが、ドライバーの収入を減らさず、会社が法律を守るためと説明した。国の指導のままに働けば、マイホームのローンも払えなくなるドライバーが出てしまう」と社長。


     同社と同じ手法で、それまで社員だったドライバーと委託契約を交わす例が増加している。業務請負の個人業者として開業を届け出た元ドライバーを使うことで労使関係は消え、互いの立場は業者間取引となる。「会社が経済的メリットを求めているわけではなく、労働時間の対策を講じながら双方の生きる道を追求するために決断した」(同社長)。
     ただ、トラックドライバーの人材派遣は認められているものの、現状では業務請負で営業トラックのハンドルを握ることは許されない。「知っているが、人材派遣だと指揮命令はトラック事業者の側になるし、オーバーワークは社員ドライバーと同様に許されない。それでは意味がない」と広島県の運送会社社長。「いまの運賃で取引先が求める翌日着の仕事をこなすには、労働時間に縛られない身分に切り替えるしかない」と、数人と業務委託の契約を結んだ経緯を話す。
     一方、本体とは別に実運送会社を抱え、そこへ柔軟に働ける取締役ドライバーとして本社の乗務員を移籍させる例もある。北関東方面への輸送が多い岡山県の運送会社では「行政に聞けば『どのやり方も問題を内包している』との答え。かといって重大事故を起こせば、業界サイドの言い訳は通用しない。わずかながらも出資した格好にすることで、取締役として彼らのプライドも大きくなっている」(専務)と割り切った口調で話す。
     とはいえ、そうしたイレギュラーな関係に心配がないわけでもない。「もし事故で怪我をしたり、働けない期間の収入をどうすべきか」という労災の問題だ。社保、国保ともに3割負担で差がない健康保険や、労働者にマイナス材料ともなる厚生年金から国民年金への移行も、個人業者なら損金で落とせて将来の退職金に充てられる小規模共済などでカバーできる。労災も民間の設計型保険商品である程度は賄えるというが、「月収30万円程度のドライバーで毎月の掛け金は2、3万円くらい」(保険業界の関係者)と安くはない。
     もっとも、これらの間柄は過去の例から見た場合、労働行政の立ち位置からすれば「実態として雇用関係にある」と判断される可能性が高い。ただ、そんな関係性を保たない限りは「法律を守って現在の長距離・翌日着の仕事を続けることは不可能」というのが関係者の大方の見解。「ツーマンで走れる運賃へ引き上げる」か、さもなければ「翌々日の到着便にスケジュール変更する」といった取引先の理解が得られない限り、手を変え、品を変えて「いびつな関係」が続くことは間違いない。

     
     
     
     
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