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    交通事故をどう防ぐか 潜在リスクは運賃問題

    2012年5月24日

     
     
     

     4月に関越自動車道で起きた高速バスの重大事故は「競争激化と運賃の低下で、ドライバーの給料と労働条件にしわ寄せが行く悪循環について再考させられる」と、運送事業者にも波紋を広げている。
     事故によって高速バスドライバーの過酷な労働環境と労務管理が注目されているが、その余波は運送業にも及びそうだ。


     5月に開かれた、あるトラック業界団体の集まりで、労基署の署長が関越道の高速バス事故について解説した。高速バスの監督官庁である国交省は、何をしていたのかという社会的関心が集まる一方で、過酷な労働条件で働くドライバーの労務管理に対する厚労省の取り組みも着目されているというのだ。
     そうなれば、バスドライバーの労務管理だけでなく、トラックでも労務管理のさらに厳しい見直しが行われる可能性がある。長距離運行の休憩時間なども着目されているという。
     そうした中で、神奈川県のある事業者は「実際にモノを運んでいる実運送事業者が、事業として成り立つ業界にならないとドライバーがかわいそうだ」と話す。過剰な運賃競争によって荷主の物流コストは下がったとしても、そのしわ寄せがドライバーの過酷な労働環境を生み出す要因になっている。
     運賃収入が減った分は、給料の減額などで対応するようになる。ある事業者は「運賃が下がり、燃料費などのコストが上がる中で、数千円の給料削減で済むなら協力を求めることはできるが、現在は2万円も3万円も下げなければいけないレベル。それをドライバーには求められない」と話す。
     別の事業者は、運賃の下落でドライバーの要望に応えられず、数人が退職したという。「家やマンションのローンがあり、この給料ではやっていけないということが辞める理由だった」と同事業者は話す。
     この事業者のドライバーは、マンションのローンを払うために、別の会社で夜間の配送の仕事を掛け持ちでやらせてくれと言ってきたという。ダブルワークで給料の減った分をカバーしようとしていたのだ。それは睡眠時間をなくして働くということであり、あまりにも危険が多い。万が一、重大事故が発生すれば、会社側の責任も問われる。やむなく、このドライバーは退職することとなった。
     「こんな理由で辞めさせたくない」。人並みの生活ができるだけの給料をドライバーに払えない実情に、この事業者は歯ぎしりする思いだ。

     
     
     
     

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