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    軽貨物業界 業績悪化で無茶な要求

    2012年5月30日

     
     
     

     荷主や元請けという強い立場を利用して、運送事業者に対し理不尽な対応や要求を行うケースは未だに後を絶たない。道内の軽貨物業界では、このような横暴に対し、自ら仕事を断る事業者も出てきている。


     道央の軽貨物事業者は、大手元請けから受けた理不尽な要求に今も腹を立てている。同社は長年、契約を交わした上で、軽トラ2台をチャーター便で毎日出していた。時間は午前7時から午後6時半までで、料金は1万円程度。同業大手の定価は1時間あたり2000円程度なので、相場よりも安く受けていたはずだった。同社長は「人件費とガソリン代でほとんど持っていかれ、車両代はどこから出るのかという水準。利幅は少なく、パンク一つしても赤字になるほどの料金だった」という。
     しかし昨年、元請けの責任者が「料金が高すぎる」とぼやいてきた。社長が望む金額を聞くと、「1日3000〜4000円程度」と驚くような数字を提示してきた。常識的に考えて、人件費も出ない金額だ。
     応じることが出来ないことを伝えると、今度は「1年前に遡って、高すぎる料金の返還をしてほしい」と無茶な要求をしてきた。同社長は「契約し、しっかりと履行した仕事に対して、このような要求をするなんて、まるでアウトローのようだ。詐欺まがいで、訴えれば勝てると思った」と振り返る。
     同社はこれに応じなかったため、ある日突然、「2台のうち、1台はいらない」と言われた。「こんな所とは付き合いたくない」と判断し、取引を中止。軽トラはインターネットで売却した。
     ただ、「元請けも業績が厳しく、そのしわ寄せが末端の我々に来ている。元請けの担当者も出来ないのを分かっていながら、上からやれと言われて、このような対応をしているのだろう」とある程度の理解は示しているようだ。
     道東の軽貨物事業者も昨年、食品卸の荷主の態度を見かねて、取引を自ら解約した。同社の場合は金額面ではなく、相手経営陣の体質に嫌気がさしたことが原因だった。
     同社にとって年間の売り上げが2000万円近い大口の荷主だったが、「自社の従業員の残業代を平気で未払いするほか、ユニフォームも用意しないことが気になった。また、繁忙期に現場は深夜まで一生懸命働くものの、他の部署の人間は一切協力せずにさっさと帰る社風も問題だと感じた」ことから、同社長は荷主の経営陣に改善するよう幾度となく進言した。
     さらに、何か問題が起きた場合、荷主側に責任があった場合でも、弱い立場にある同社に責任転嫁をする姿勢が染み付いており、これに我慢できなくなった。同社長は「荷主だからといって、うちの従業員を理不尽に責め立てるのは許せなかった。このような経営トップの体質に我慢できず、何度話をしても通じないため解約届を郵送した」という。
     荷主からは「こんなことをして、どうなるか分かっているのか」という脅しめいた言葉が出ていたが、「この会社にうちの従業員を関わらせたくなかった」と同社長は話す。
     大口の取引を失った分、新規の開拓と既存荷主に対し、料金値上げの要請を行っており、「かなりの成果が出ている」という。同社長の耳には、取引をやめた元荷主の現場が混乱し、「業務を回すのが大変になっている」という話が届いている。

     
     
     
     

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