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    国際レベルまで機能強化図るが 解消されない「滞留問題」

    2012年11月22日

     
     
     

     「デポ(仮置き場)を設置しゲートを開ける時間を延長したところで、根本問題が解決されない限り、コンテナトレーラの滞留はなくならない」。自治体や国など様々なレベルで内陸部にデポを設けたり、24時間コンテナターミナルを開門したりと、様々な手立てが講じられるなか、コンテナゲート前の滞留問題が解決されないことに関係者はいらだちを強めている。戦略港湾といった大きなテーマの文言で、国際レベルにまで機能強化を図ろうとされる港湾機能。一方で滞留といった原始的なテーマが解消されない現実との乖離が大きくなっている。


     国際コンテナ戦略港湾に指定された神戸、大阪の両港からなる阪神港。ここを拠点として輸出入をしようとする荷主にコスト削減を打ち出してコンテナを集めようとしたのが、今秋から1年間の実証実験に入った内陸型のコンテナデポ(滋賀県野洲市)だ。福井県の敦賀港などを経由して韓国・釜山港に運ばれたのち、外航船に載せるというコンテナ貨物のルートが定着してきたことなどへの危機感から、神戸、大阪の両港が設置した。
     同デポは、自動車などの関連工場の集結する琵琶湖東部地域や三重県などの荷主と空コンテナをやり取りする利用手法を提案している。空コンテナを阪神港にまで取りに行ったり返却したりする「空バン」輸送をなくすことでの合理化だ。
     しかし、荷主の工場から阪神港にまで輸送したり、その逆の輸入で生じる輸送は当然なくならない。あるコンテナ輸送業者は、「内陸のデポでは滞留は生じないだろうが、神戸、大阪でのコンテナゲートでの滞留に資する効果は全くないだろう」と分析する。
     全国に先駆けて神戸港で今年3月までの5か月間、実施された「コンテナゲート24時間オープン」事業。国際間競争で生じていた取りこぼし貨物の集荷が焦点だったが、業界関係者は「24時間、いつでもゲートが受け付けても、実際に使われたのはわずか300本。期間中も日中のゲート前の滞留には何の影響もなかった」と話す。
     阪神流通中小企業協同組合(神戸市)のメンバーは今月初め、港湾運送を所管する神戸運輸監理部貨物・港運課を訪ねた。滞留問題に対する当局の考えを聞き出す目的だ。
     代表の鳥居豊太郎氏は、コンテナゲート内での作業人員の話を切りだした。「2、3時間もゲート前で待たされるのは、作業員の数が減っているためだ。数を増やすよう、港湾運送業者に指導してもらえないか」と問うた。同課の塚本量敏課長は、「(指導する)権限がない。元請け会社やターミナル会社にどういうことができるかは考えるべきだが」と答えるにとどまった。
     港湾運送事業法第1条は「この法律は、港湾運送に関する秩序を確立し、港湾運送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする」と定める。滞留を引き起こす作業人員で事業を運営することが「公共の福祉」に合致することなのか。
     本紙の問いかけに同課は、「公示では会社ごとの人員の縛りは掛けられているが、ターミナルごとの人員は事業者のサービスの範疇。トレーラに合わせていないのが実態だが、行政は口を出せない」と答えるにとどまった。
     今年初めの時点で同監理部は、港湾運送事業への新規参入について「ここ数年全くない」としており、新規参入という競争状態に置かれていないことを認めている。
     同協同組合によると、以前はコンテナゲートに八つ以上のレーンがあり開門していたが、近年は2レーンから4レーン程度しか開門していないという。

     
     
     
     

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