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    「公定幅運賃」の導入 タクシー業界の悲願

    2014年1月23日

     
     
     

     物流二法の施行から事業者数の増加に拍車が掛かり、多重・多増構造も相まって運賃下落に歯止めを掛けられていないトラック業界。労働環境の向上など課題の解消には適正運賃の収受が前提であり、標準運賃の設定や認可制運賃の復活を求める声は根強くある。
     タクシー業界では、行き過ぎた規制緩和を背景に、過当競争是正に向けて供給過剰地域での事業者に減車を義務づける「改正タクシー事業適正化・活性化特別措置法」(ほか2法)が11月20日に衆議院本会議で可決、成立した(12月2日号既報)。この改正法成立の立役者の1人が、トラック業界で重責を担う坂本克己氏である。


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     タクシーの運賃設定は地域ごとに上限・下限を決め、その幅の中で自社の運賃を決める自動認可運賃で、収支が合えば下限割れ運賃でも認められている。しかし、公定幅運賃制度が導入されたことで、指定された地域では下限を超えた運賃、いわゆる「格安運賃」が認められなくなる。運賃だけの競争が姿を消すことになり、規制強化に進んだ形だ。
     これまでタクシー業界では、平成21年10月に「タクシー適正化・活性化特措法」が成立し、都市部などの競争が激しく地域公共交通としての機能を発揮できない地域を原則3年間「特定地域」に指定し、地域事業者らで構成する協議会で減車計画を策定していた。しかし、同法は事業者の自主的なもののため強制力はなく、「減車に応じない」「参加しない」などの不公平感に加え、下限割れ運賃の解消にも至らず「正直者が馬鹿をみる」という問題を抱えていたという。
     今回の改正で、協議会で策定する事業計画に関するものは「独占禁止法から除外される」ため、協議会で減車の話し合いができるようになった。また、協議会に従わない場合は国が勧告・命令を行うことを規定しており、供給に対する措置が厳格化された。さらに、特定地域の指定解除となっても急激に元の状態に戻らないよう「準特定地域」が創設されている。
     全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連、富田昌孝会長)が10月30日に行った事業者大会では、富田氏と全タク連・適正化・活性化推進特別委員会本部長・坂本氏のツートップに喜びと期待が寄せられ、11月20日の法案成立で業界からは両氏に絶賛の声が挙がっている。
     供給過剰による競争激化で乗務員の労働条件悪化や事故増加の懸念は、トラック業界にも広がっている。多種多様で複雑な運賃体系から「標準運賃の設定」などは難しいとされるが、今回、改正法成立の立役者の1人が大ト協会長、全ト協副会長などを務める坂本氏だけに目を引く。
     タクシー業界の悲願だった改正法成立にこぎ着けただけにトラック業界でも今後、行き過ぎた規制緩和に歯止めを掛けられるか期待されている。

     
     
     
     

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