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    経営課題、各社の取り組み 人材難をテコに

    2014年4月4日

     
     
     

     従業員が働く物流現場を基点とした経営改革の試みが各地で起きている。労働時間管理や人材育成といった現場管理の問題は、経営上の個別の問題としてコンサル的な手法で分析的に扱われがちだが、むしろ問題を経営全般を動かすテコとして位置付けるやり方だ。ここに出てくる時短、企業連合、技術の蓄積などは、それ自体が経営上の大テーマとなるが、人材という共通項で結ばれているのが今日的だ。
     「今年は、『ドライバーに合った仕事を』がテーマだ」。トラック数十台を保有する兵庫県内の運送事業者。燃料高など問題は山積するが、乗り越えるべき最優先課題として、これを挙げた。地場配送から長距離輸送まで幅広く仕事を抱え、仕事の確保が叫ばれた数年前からみても、仕事量は比較的順調に推移した。しかし、その担い手のドライバー不足はいかんともし難い。最近では、事業者はその状況を「1人辞めたらもう、ドライバーは来ないと思った方がいい」とまで表現する。


     年の初め、「ドライバーに合った仕事」を、営業・管理職に告げた。これまでとの違いは、1運行当たりの収入増を図ろうとしない点だ。事業者は、「例えば、燃料高自体を問題ととらえると、人件費を確保すべく高値の燃料を補って余りある運賃の設定ということに目が行く。今年はそうではなく、時短を荷主に求めていく」という。
     配送時間に関しては従来、例えば午前に集中する配達時間を午後にずらすことなどを求めていく交渉などはしてきたが、時間の短縮などを具体的に求めていく作業は同社の場合もほとんどなかった。トラック1台がこなす仕事は積載量におのずと限定されるがゆえに、長距離などでは特に時短は難しい。地場の配送作業でも、配車の裁量は任されている仕事もあるが、時間厳守の制約が独自の配車権の邪魔をしてきた。
     自社のなかで時短につなげることができること、そして積み込み・下ろし時の待ち時間など取引先の了解を得なければならないものに分けて、時短を具体化させていくという。
     事業者は、「今までは仕事に合うドライバーを求めてきたが、これからはその逆の発想が求められている」と断言する。主婦層なども含めた未就業ドライバーの発掘を中長期的に視野に入れるという。ワークライフバランスと発想を一にする取り組みだ。
     「宅配技術の品質保持が大きな課題になるだろう」。家電・家具などの宅配を主力とする、同県内の事業者によると、この分野は、大手量販店から出る宅配物流でシェア争いが常に付きまとうという。
     県内をはじめ、大阪府内も含めた地域の宅配で昨年まで、それを担うシェアが塗り替えられてきている。事業者は、「まだ取れていないウチの地元エリアを今年は取りに行く」と意気揚々だ。
     そこで課題となるのがドライバーと作業員の確保だ。大手量販店が求める宅配の作業品質は、客宅でのあいさつに始まり、接客、技術など項目別に高いものが要求されるという。全国の同業者と知恵を寄せ合う会合で検討した宅配品質の項目数は35項目にも上った。
     事業者は、「ドライバーの流動化は避けられそうにない。ならば必要となってくるのが技術の蓄積」と話し、今いる人材の教育と将来をも見越した作業のマニュアル化、作業の受け皿になる企業連合化に注力するという。
     人材確保の視点が、こうした企業連合の発想と結びつく例はほかにもある。
     重電関連の物流を主力とする近畿のトラック事業者は、「働きたくなる会社」を目指して企業連合の結成に取り組む。「トラック、そしてドライバーは公道を走ることから、本来もっと世間にアピールできる産業。人材確保に関しても、例えば統一カラーのトラックとユニフォームによるアピール。目にしてもらう回数を増やすためにも、同じカラーを使う会社が連合し、『ハンドルを握るなら、あそこのトラックで』と思ってもらえるようにできれば」と思いを語る。

     
     
     
     

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