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    共同点呼普及せず 不便さ目立つ、見直しが必要

    2015年9月24日

     
     
     

     Gマーク取得事業所のインセンティブの一つに「共同点呼(受委託点呼)」がある。制度を活用すれば、近隣の事業者同士が協力して点呼を行えるため、事業経営の効率化が見込まれるとして当初から期待を寄せる声があった。しかし、いざスタートしてみると、使い勝手の悪さが目立ち、Gマーク取得事業者に普及、浸透していないのが現状だ。
     共同点呼は、流通業務団地などトラック運送事業者が多く集まる地区で協業化・効率化を通じた経営環境の改善を目的として、平成25年11月1日にスタートした。受託営業所はGマーク取得営業所、委託営業所はGマーク取得営業所もしくは過去3年以内に重大事故を惹起しておらず、点呼実施違反に係る行政処分を受けていない営業所だ。
     制度の仕組み自体を評価する声は以前からあった。「点呼は事業規模に関係なくやらなければならない。できていないという会社も周囲の協力でできるようになるのでは」と期待が寄せられた。また、点呼は自社で行うことを基本とするが、「第三者が実施した方が客観的に見られる」という声も根強い。実際に平成24年1月には日貨協連が全ト協の委託事業として郡山トラックセンター協同組合で実証実験を行っている。


     ところが、受委託点呼の場所は、受託営業所または受託営業所の車庫とされている。つまり、Gマーク制度はあくまでトラック運送事業者を対象とするため、Gマーク取得対象外となる協同組合で今のままでは共同点呼はできない。事業者からは〝点呼マスター〟などGマーク取得に準じる資格などを新設し、会員出資の共同車庫を使うという構想も聞かれるものの、導入しようにもできないジレンマを抱えている。
     国交省自動車局貨物課・益本宇一郎企画調整官も「見直しのタイミング」とした一方、慎重な姿勢を見せている。背景に「規制緩和」という大きなテーマを抱えているためだ。課題をクリアにするためには、「どんな状態、どんな条件であれば規制緩和が可能か、データを元に精査しなければならない」という。同省では制度の利用が少ないことを把握済みで、現状はデータ収集の段階にあるようだ。
     さらに、第三者が点呼業務を受託する場合、国がどう管理し安全を担保するかという問題がある。国交省が監督するのはトラック事業者だ。受委託点呼で悪質なケースが発生した場合、受託者が事業者であれば適正な処分ができるが、第三者であれば国交省の手に及ばない。また、管理するという意味で警備会社など民間会社の参入も考えられる。そうすれば点呼業が可能となり、また新たな問題が生じてくるという。
     ただ、受委託点呼場所と委託営業所の車庫との距離が5km以内とされていることについては、緩和の動きもあるという。「こちらは通達レベルなのでハードルは低い。しかし第三者による共同点呼を行うとなると法律レベルの話になるため、ハードルは一気に上がる」。
     とはいえ、点呼の重要性を理解しているからこそ、トラック運送事業者はより使いやすい制度への変貌を切に願っている。業界全体の最適化を考えたとき、どうすれば安全に寄与する仕組みとなり得るのか。インセンティブありきではなく「安全・安心の輸送」に立ち返った制度設計の見直しが今、求められている。

     
     
     
     

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