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    狙われる運送会社 労務トラブル増加

    2015年10月5日

     
     
     

     〝77万件〟。インターネットの検索サイトで、「残業代請求」と検索した際の結果の数だ。「残業代が回収できなければ費用ゼロ」「残業代請求の相談は無料」といった文言が並ぶ。着手金なし、成功報酬型の専門家が増えたことで、労務トラブルの際に弁護士などの専門家へ相談するハードルは下がった。仕事の性質上、長時間労働が発生しやすい環境にある運送業界は、労務問題を扱う専門家にとって「魅力的な市場」であるようだ。
     この10年で労働問題のトラブルは急増している。厚生労働省が発表している「平成26年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によれば、総合労働相談件数103万3047件と7年連続で100万件を超え、高止まりしている。


     現在はインターネットの普及により、少しの時間で「どういったケースであれば、残業代の請求が行えるのか」といった知識を得ることができ、必要とあれば、すぐに専門家に相談することができる。「弁護士業務の柱の一つである、消費者金融やクレジットカード会社に対する過払い金請求の期限はあと数年。それに代わるのが、ガードの甘い中小企業への未払い残業代請求」(都内で運送会社向けのコンサルティングをする社労士)という話もある。
     中には、一般的な倫理観からすると、疑問を抱くような営業方法をとる専門家もいる。
     首都圏の運送A社で働いていたドライバーBはギャンブルで数百万円にのぼる借金を抱え、返済できない状況に陥った。BはA社社長に「自己破産して会社も辞める」と話した。Bはまだ20代の若者で、A社長は「自己破産などしない方がいい」と諭した。しかし、Bは「弁護士に任せている」と言い、忠告を聞かずに退職してしまったという。
     それから数か月後、A社にBの代理人を名乗る弁護士から、未払い残業代の請求書が届いた。A社はタイムカードで管理していたため一切の言い訳ができず、言われるままの金額を支払った。
     A社長は「お金ができたことがわかれば、債権者が集まってくるのではないか」と考えたが、自己破産によって清算が済んでいるため、債権者が債務を請求することはできないのだ。Bの弁護士は、自己破産して返済できなくなることをわかっていながらBに上乗せで借金をさせ、着手金にあてるようアドバイスしていた。さらに、A社が支払った残業代の中から成功報酬を受け取ったという。
     また、トラブルとなるのは「問題社員」ばかりとは限らない。訴えを起こした従業員が信頼していた優秀な社員の場合、より争いが大きくなる傾向がある。現在、運送業界は深刻な人材不足。代わりの人材が見つからず、問題が長期化するケースもある。
     首都圏に拠点を構える運送C社に勤める敏腕ドライバーのDが、弁護士を通じて過去2年間に遡って未払い残業代を請求した。こうしたケースでは、会社に居づらくなり退職することが多いが、Dはこれまでと変わらず、仕事を続けている。
     その結果、過去2年間の未払い残業代の支払いを待ちながら、さらに日々の残業代を積み立てている。この裏には、「すぐに辞めてしまわずに仕事を続けたほうが得だ」という弁護士のアドバイスがあった。Dが仕事を続け、残業代を積み立てていくことで、弁護士の成功報酬も引き上げられる。
     C社社長は「荷主からの受けも良いドライバーなので、他よりも良い給料を払っていたつもり。辞めてもらうか、仕事を減らすかしたいが、代わりの人材もいないのでどうしようもない」と、複雑な胸の内を語る。
     労使問題が取り沙汰されているのは、運送業界に限った話ではない。しかし、就業規則などの社内規程の整備が不十分であるケースや、時間外手当が明記されていないなど、賃金体系が整備されていない中小運送会社が少なくないのも事実。
     労使間のトラブルが発生した場合、争うことになる相手は弁護士などの「法律のプロフェッショナル」だ。法令をしっかりと理解した上で、「もしも」の時に備えておかなければ、会社を守ることは難しい。労働者の意識が変化しているなかで、トラブルを未然に防ぐための労働環境の構築と、リスクへの対策は経営者の急務といえる。

     
     
     
     
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